表紙には昆虫や花の写真、裏にはちょっとした解説が掲載されている――。「先生の授業内容は忘れてしまったけれど、このノートのことは覚えているよ」といった人も多いかもしれない。ショウワノートの「ジャポニカ学習帳」である。
ジャポニカ学習帳は1970年に登場し、累計14億冊を販売してきた。長年にわたって、昆虫や花の写真を掲載してきたが、この11月に大幅にリニューアル。表紙から写真は姿を消し、イラストに変更するのだ。
7月下旬、リニューアルを発表したところ、どんな反響があったのか。「『子どもの興味の入り口』として、写真のままでいてほしかったなあ」「表紙の写真は魅力的だったので、イラストに変更するのは残念」など、変更に対してネガティブな声が多く寄せられた。「反対の声はある程度、想定していた」(担当者)そうだが、それでもなぜこのタイミングでリニューアルを決断したのか。
大きな理由は、2つある。1つめは、昔と今の子どもたちの事情が違うことだ。ノート売り場で目立つのは、人気キャラクターが描かれたものや、かわいい動物のイラストばかり。「子どもの教育にとって、自然の写真がいい」といった考え方は、どうやら時代遅れになりつつあるようだ。
さらに、少子化で子どもの数が減り、タブレット端末を使った学習も広がる。こうした環境の変化によって、ジャポニカ学習帳はじわじわと追い込まれていたのだ。
もう1つの理由は、2022年暮れの出来事である。長年、表紙の写真を撮り続けてきた山口進さんが亡くなった。「ジャポニカの表紙といえば、この人」といわれた存在が亡くなったことも、ひとつの区切りとなったようだ。
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