それだけ米国で購入したCBDサプリメントを日本に持ち込むのはかなりリスキーなことなのだ。サントリーHDの会長として、このリスクを無視していたのは、「危機管理能力ゼロ」のそしりを受けてもしょうがない。
このような「プロ経営者」とは思えない責任感の欠如・脇の甘さに加えて、取締役会が問題視したのは、おそらく(3)の「日本で買うと高いので個人輸入した」という動機である。
CBDサプリメントは日本国内でも購入できる(※)。もちろん、日本国内で販売されているものは成分基準を満たしており「合法」である。競合他社の製品を購入するのは気が引けるかもしれないが、これまで解説したようなリスクがあるので普通に考えればこちらを購入する。
(※)大麻草から抽出される成分の一つ。抽出の過程でTHCという成分が残ることがあり、この成分が基準値を上回ると「麻薬」扱いで違法となる。
しかし、新浪氏はそれをやらなかった。ご本人によれば、その理由は「高いから」だという。記者会見でも新浪氏はこう述べている。
「日本より米国のほうが安いということで、経済的な意味合いだ」
この説明がネットやSNSで「めちゃくちゃ稼いでいる人間の言うことではない」と叩かれているが、これを新浪氏の口から聞いたサントリーHDの取締役会は別の意味で、開いた口がふさがらなかったはずだ。
「日本で買うと高いので、海外のサプリを個人輸入します」というのは、サントリーウェルネスとしては最も消費者から言ってほしくない動機だからだ。
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