「お小遣いちょうだい」――かつては親から手渡しでもらっていた高校生の姿が変わりつつある。MMD研究所の調査によると、QRコード決済を利用する高校生の34.7%が送金機能の利用経験があり、そのうち74.7%が家族間での送金だという。現金の手渡しから、スマートフォン画面のタップへ。親子間のお金のやりとりは、確実に変化している。
高校1年生の山田君(仮名、以下同)の日常風景はこうだ。部活の遠征前日、LINEで母親に「明日3000円必要」とメッセージを送り、続けてPayPayのリンクを送信。母親は仕事の合間にスマホを確認してワンタップで送金を完了させ、その数秒後に山田君のスマホに着金の通知が届く。
小林家の朝は忙しい。高校1年生の娘が学校へ向かう準備をしながら「今日友達とカラオケに行くからPayPayでお金を送って」とLINEを送る。母親は「現金希望だが、リンクならLINEから送れるし便利」と話す。
財布を持たない生活を送る田中家の息子は高校3年生だ。「リンクなら払ったかどうか分かる」というデジタルならではの「見える化」が、親の安心材料になっている。
高校3年生の佐藤君は、月額2500円の定額お小遣いに加え、送金額の10%(月上限500円)がポイントで上乗せされる、PayPayのお小遣い増量キャンペーンを見逃さない。
こうした送金機能の利用は、親世代でも広がっている。MMD研究所の調査では、親の51.0%がQRコードでの送金経験を持ち、そのうち82.5%が家族間送金だ。小林さんは「履歴を見返せるのが便利。クレカは反映まで時間がかかり、振込もその場では確認できない」と送金履歴のリアルタイム性を評価する。子どもが何に使っているかは管理していないが、送金の記録が残ることが安心材料となっている。
田中さんの「銀行口座から送金するより手軽」という言葉も印象的だ。PayPayが2022年に追加した定期送金機能の利用は、2024年3月時点で前年同月比2.6倍に増加。毎月決まった日に自動送金する家庭も増えている。
座談会に参加した全家族が「家族間の送金で使っている」と述べた。修学旅行前に初めて送金したという家庭では、「現金が足りなくなった場合の安心材料」として機能したという。デジタル送金は単なる利便性の追求ではない。親としては使途を把握でき、子どもは必要な時にすぐにお金を手に入れられる。お小遣いのデジタル化は、親子それぞれにとって合理的な選択となっている。
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