そんな不穏な状況の中、圧倒的な世界シェアを誇るDJIに対抗できる可能性を秘めたメーカーは存在しないのか。
米国には、Skydio(スカイディオ)やAeroVironment(エアロバイロンメント)といったメーカーが存在するが、実は最近、それ以外に日本でも注目されているドローンメーカーがある。Anduril Industries(アンドゥリル・インダストリーズ)だ。
同社は、AIを搭載した、GPS(全地球測位システム)も人工衛星も使わない自律型ドローンを製造・販売している。2024年には売上高が約10億ドル(約1500億円)に達した。企業価値は280億ドル(約4兆1000億円)に及ぶと見られるユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)である。
アンドゥリルの提供するドローンは、現在の一般的な製品の一歩先を行っている。というのも、従来の遠隔操作ではなく、AIを使って自律飛行する能力を持つドローンだからだ。
2025年5月には、米空軍がアンドゥリルの自律AI戦闘機「YFQ-44A」の導入を発表した。このドローンは、有人の戦闘機などと一緒に編成を組んで活動し、戦闘から支援までを担う。これからは、こうしたドローンを駆使した軍事活動が新たな次元に入っていくというのが大方の見方だ。つまり、そこには新たな軍事ビジネスが広がっている。
米空軍参謀総長のデビッド・W・オルビン大将は「革新のペースは、脅威のペースを上回らなければならない」と述べ、「戦闘員がこの能力を必要としている。激しい競争環境下で決定的な優位性をもたらすためのものだ」と語る。
米国はこれまでも、軍事的な開発をきっかけにして、先端技術を民生化してきた。ドローン以外でも、インターネットやGPS、古くはレーダーや電子レンジで使われるマイクロ波技術まで、軍用から民生化された技術だった。
特にテクノロジーの進化が著しい現代では、ビジネス界でも、自律型AIが一気に主流になる可能性がある。
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その採用、大丈夫? 日本にも広がる「民間企業のスパイ活動」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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