セールの魅力はまだある? 「春が飛んだ、秋も飛んだ」アパレル事情アパレルビジネス(4/4 ページ)

» 2025年09月15日 08時00分 公開
[久保雅裕ITmedia]
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アパレルビジネス』(久保雅裕/クロスメディア・パブリッシング)

 いずれにしてもセールは縮小されていく傾向にあります。むしろ、その時期に売れる物をプロパーで販売する方向に変わってきていることは間違いありません。

 フランスでは小規模小売店を保護し、競争の公平性を確保するため年に2回、決められた日からしかセール(フランス語では「ソルド」)ができないという法律があり、それを破ると罰則が科せられます。

 現在は「プロモーション」という形で限定的に別の時期にもソルドができるようになりましたが、基本、1月第2水曜日と6月最終水曜日からのソルド初日には、それなりの盛り上がりがあります。

 一方で、フランス政府は、アパレル商品の廃棄を禁止する法律を2020年に制定しました。この法律では、未販売の新品を廃棄することが禁止され焼却や埋め立て処分ができなくなりました。さらに売れ残りの商品は、寄付やリサイクルなど持続可能な方法で処分することが義務付けられ、2022年からは企業に対して廃棄防止計画の提出や透明性の確保が厳格化され、違反者には罰則が科されるようになっています。

 この法律は、フランスが気候変動や環境保護への取り組みを加速させるための象徴的な政策のひとつとなっており、とくにファッション業界に大きな影響を与えました。そういう意味でフランスはこの分野で世界的に先駆的な取り組みを行っている国のひとつとされています。

 SDGsの取り組みとセールの在り方は、各国でも模索が始まっている状態といえます。

著者プロフィール:久保雅裕(くぼ・まさひろ)≫

ファッション・ジャーナリスト

 1963年東京生まれ。法政大学社会学部卒業後、1990年繊研新聞社に入社し22年間勤務。日刊繊研新聞でレディス、キッズ、インポート分野を担当し、1999年にフリーペーパー「senken h(アッシュ)」を創刊。同誌編集長およびパリ支局長を歴任。2012年に大手セレクトショップに転職し、マーケティングディレクターとして活動。2013年に独立後、ファッションビジネス専門ウェブメディア「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」を立ち上げ、杉野服飾大学特任教授(2016-2024年)、encoremodeコントリビューティングエディター(2019年-)、一般社団法人東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)代表理事・議長(2022年-)を務める。国内外のファッション業界に精通し、コンサルティング、講演活動、執筆を通じて若手クリエイター支援に取り組んでいる。


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