さて、このような素晴らしい話を聞くと、「私も竹田さんが手がけた古墳墓に入りたい!」という愛国心あふれる人も多いはずだ。一方、ビジネスパーソンの中には、竹田さんのサクセスストーリーに刺激を受けて、「日本の伝統文化を広めるためにも、古墳墓ビジネスを始めてみようかな」と思い立った人もいるかもしれない。
ただ、残念ながらそれは不可能だ。講演の最後、竹田さんは集まった霊園関係者たちにこのようなことをおっしゃったからだ。
「あっ! ひとつ言い忘れてました。アイデアがあるのならちゃんと商標登録したほうがいいですよ。私は古墳に関するものは全て商標登録しています。ですので、古墳のお墓をつくってしまうと商標違反になります」
そんなことができるのかと驚いたが、確かに「古墳の窓口」を見ると、ページの下に小さな注釈があった。
「古墳」は株式会社前方後円墳の商標または登録商標です。「前方後円墳」は株式会社前方後円墳の商標または登録商標です。
前方後円墳は「話し合いで争いをやめた日本国民統合の象徴」だが、それはそれ、これはこれ。ビジネスである以上、「みんな仲良くシェア」というワケにはいかなさそうだ。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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