5.代表的メガトレンド書の予想は当たったのか
2025年現在から振り返ると、これらの予測の多くは方向性としては的中している。
・ドンピシャだったもの:デジタル化の加速、世界的相互依存、資源制約。
・ようやく顕在化:高齢化の深刻化、都市インフラ不足、中央政府影響力の低下。
・いまだ不透明なもの:人類の「超人化」や生態操作といった領域。
つまり「当たり」「これから」「まだ先」が入り混じる「まだら模様」の現実となっている。
6.見えていなかったメガトレンド
一方、2010年代の代表的予測書が見逃した潮流もある。
(1)リベラルへの反動と分断の表面化
トランプ政権の登場を象徴に、民主主義・グローバリズム・環境重視・LGBT共感といったリベラル価値観に対する反発が顕著化。先進国での移民忌避、分断の拡大は、当時の予測では十分に捉えられていなかった。
(2)主要国社会での二極化―中間層の劣化
米国や欧州、日本を含む先進国では、中間層の購買力や生活安定性が低下。富裕層と低所得層の格差が拡大し、社会的二極化が進んだ。この構造的変化は分断の背景要因の一つであり、ポピュリズム政治の台頭にも直結した。
(3)ロシアのウクライナ侵攻と逆流するエネルギー秩序
2022年以降の戦争は、世界的インフレとエネルギー供給網の混乱を招き、化石燃料依存が一時的に逆流する現象を生んだ。気候変動対応の大きなリスクファクターとして顕在化したが、2010年代の予測書では地政学リスクは軽視されていた。
(4)安全保障体制の再編と財政構造の変容
自由主義陣営は安全保障に巨額投資を余儀なくされ、防衛産業の再興と財政圧迫を招いた。ICTや経済よりも軍事と安全保障が政策の中心に再浮上する潮流は、当時は十分に想定されていなかった。
(5)AIの急速な進展と社会的インパクト
AIの進化は当時も論じられていたが、2020年代に入っての生成AIの爆発的普及は、予測を超える速さで社会を揺さぶった。文章生成、画像生成、プログラミング支援など、知的労働の一部がAIによって置き換えられる現象は、既存産業の構造や教育・労働市場に大きな衝撃を与えた。AIは単なる技術トレンドにとどまらず、「人間の役割とは何か」という根源的な問いを突きつける存在となっている。
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