Jリーグは、シーズン移行が決定した際に10年後の目標を掲げている。「クラブの経営規模を1.5倍から2倍にすること」「アジア・世界で勝つこと」「日本代表メンバーにJリーグ選手が食い込むこと」の3つだ。
目標の達成に向けて、鈴木氏はマーケティング戦略を集客向上にとどまらない取り組みと位置付ける。「Jリーグ全体の価値向上を目指している。世界のサッカー界における立ち位置や存在感を変えていきたい」と語る。
足元の課題も明確だ。現在のスタジアム収容率は、全体で約5割にとどまっており、まだ倍にできる余地がある。招待施策も売り上げが比例して増えているか常に検証し、収容率と入場者数、入場料収入のバランスを注視していく姿勢を示す。
他のプロスポーツを見ても、Bリーグは2024〜25シーズンに過去最高の484万5109人を動員し、プロ野球も2024年は2600万人余りと5年ぶりに過去最多を更新するなど好調だ。
AIやデジタルが進化する時代だからこそ、リアルな体験価値の重要性が増していることがうかがえる。人口減少という避けられない課題があるからこそ、データ分析による最適な施策の展開と、リーグ全体でのブランド価値向上が不可欠だろう。
サッカー界の世界最高峰とされるプレミアリーグ(イングランド)の売上高は2022〜23年シーズンで約1兆1500億円といわれている。1990年代はJリーグとほぼ同等だったが、今や7倍以上の差がついた。
しかし、日本代表が「W杯優勝」を目標に掲げるまで成長したように、Jリーグもデータとリアル体験の融合により新たな成長ステージに向かっている。Jリーグの発展と成長はまだ道半ばだ。
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