実際、日本企業の上司にとって「不機嫌」は部下の指導術の一つとなっている。人材派遣を手掛けるR&G社(さいたま市)が2024年、ビジネスパーソン500人を対象に「上司を『怖い』と感じるとき」を聞いたところ、トップは「口調・話し方が怖い」(130人)、次いで「イライラを隠さない」(99人)だった。
仕事でミスをした際の叱責やキャラクターで「怖く思われてしまう」のではなく、平時から言動や態度で「怖い人」と周囲にアピールしている管理職がかなりいるのだ。ヤンキーだらけの荒れた学校に転校してきた子が、ナメられないように周囲を威嚇するようなことを、いい年をした大人、しかも管理職がやっているという現実からも、日本の労働現場に「中2病」がまん延しているのは明らかだ。
これにはいろいろな意見があるだろうが、根本的なところで言うと、日本のビジネスパーソン、特に中間管理職の「能力が低い」ということに尽きる。
「貴様! 日本人の勤勉な労働者が世界でどれほど称賛されているのか知らないのか!」と今すぐに筆者に能力不足をディスりたくなる人も多いだろうが、日本政府の報告書の中にちゃんとそう書かれているのだ。
2021年8月10日、内閣官房が公式Webサイトに「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて 〜生え抜き主義からダイバーシティ登用主義への変革〜」という報告書を公表した。これは西村康稔経済財政再生相(当時)が立ち上げた「企業組織の変革に関する研究会」がまとめたものだ。
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