日本の自動車メーカーは、部品の信頼性や品質を高めながら最低限の重量に収めることで、燃費や衝突安全性を高め、故障の原因も取り除き、トータルで安く安心して乗れるクルマを提供してきた。その実績によるブランド力で世界から支持されているのだ。
米国車メーカーが丈夫さを最優先に車体や部品を作り、その上で軽量化や燃費改善を図ってきた歴史とは大きく異なる。広大な国土をもつ米国では、立ち往生が生命の危機に直結していたという事情もある。通信技術が進歩した現代では、クルマ作りを根本から変えるべきだが、長い歴史と固定観念を変えることは難しいのだろう。
一方、ユーザーに選んでもらうためには、流行のクルマに仕立てる必要がある。SUVやLサイズミニバンでは、デザインや斬新性などで差別化するために、軽量化を犠牲にせざるを得ない部分がある。
室内の加飾なども重要な要素だ。どれだけ軽量で、燃費や加速性能が競合より少しくらい良くても、デザインや豪華さで引けを取れば、選んでもらうことは難しくなる。誰だって何百万円も払って(最近は残価設定ローンが主流の車種もあるが)購入するのなら、移動中も満足感が得られる充実した空間を選びたいものだ。
先日、スズキが技術戦略説明会を開催した。これは2024年7月に発表した「10年先を見据えた技術戦略」の進捗(しんちょく)状況を報告するものであった。
スズキのすごいところは、軽量化をコストアップの言い訳にしないことだ。そもそも織機の生産で創業し、乗り物の生産は小さなオートバイから始めた歴史がある企業だけに、材料を減らして軽く安く作る技術には長けている。
そのためかつては、同じ軽自動車というカテゴリーでも、2輪車から発展したスズキやホンダの軽自動車と、ダイハツや三菱の軽自動車では、全体的な乗り味に差を感じたものだ。
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