過去最高の業績を支えた要因を、高垣氏は3つ挙げる。1つ目は、周辺商業施設の開業効果だ。2024年に商業施設のグラングリーン大阪やイノゲート大阪などがJR大阪駅の北側エリアに誕生した。グラングリーン大阪は、2024年9月の先行開業から半年で約1000万人が来場し、うめきたエリア全体が活性化した。
「グラングリーンの芝生広場にはファミリー層の来場が多く、うめきたエリアとつながるルクアイーレへの来館も増加した」と高垣氏は話す。
うめきたエリア内に施設は増えたが、差別化もされている。例えば、イノゲート大阪の飲食ゾーン「バルチカ03」は40〜50代の働く男性をターゲットとし、うめきたグリーンプレイスはファミリー層向けのフードコートを展開している。
ルクアはマルシェ(市場)とレストランが一体化した飲食フロアを提供するなど、それぞれが独自色を打ち出し、エリア全体で相互に補完している。
2つ目は、インバウンド客の急増だ。2023年3月、うめきたエリアに大阪駅の新たな地下ホームが開業した。これにより、関西国際空港と大阪駅を結ぶ特急「はるか」が大阪駅に停車するようになった。
従来は新大阪駅で乗り換えていたインバウンド客が、大阪駅で降車できるようになったことで来館機会が拡大した。実際、インバウンド客の比率は2018年の5%から、現在は15%まで上昇している。
3つ目は、ルクア独自の戦略を展開したことだ。2館体制10年を機に策定した「ココロ。くすぐる。」というブランドコンセプトのもと、Z世代やミレニアル世代に向けた共感マーケティングを推進している。
企画・開発チーム「トキメキ事業部」が運営する「妄想ショップ」では、SNSで募集した日常の悩みをもとに期間限定ショップを毎月開催。過去には、自分だけの考え方の“クセ”を見つけ、愛でる「変さ値!?ワークショップ」や、悩みから最適な髪型を一緒に探す「ヘアスタイル屋さん」などを実施した。
このほか、景品付きドミノやすごろくで"無駄"を楽しむ「ムダ満喫CLUB」、恋をテーマにしたイベントを行う「Me Project」など、生活者の悩みをトキメキに変える体験型施策を展開している。「1万2000人からアンケートを集めるなど、顧客の声に応える運営ができている」と高垣氏は手応えを語る。
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