帝国データバンクが、企業の代表者における肩書のうち「CEO(最高経営責任者)」を採用している企業について分析したところ、2024年末時点で少なくとも1536社が「CEO」を使用していた。調査対象全体の1%に満たないものの、前年からは187社(13.9%)増加し、コロナ禍前の2019年からは約1.7倍(910社)に拡大している。
企業のグローバル化が進み、国内外の投資家がコーポレートガバナンス(企業統治)を重視するなかで、経営の透明性を高め、迅速な意思決定を実現するためにCEO制度や肩書を導入する動きが広がっている。
ただし、日本の会社法ではCEOの職責や権限について明確な規定がない。そのため多くの企業では「代表取締役社長(会長)兼CEO」という肩書を用いるケースが一般的だ。
日本ではソニーが米国型の執行役員制度を導入したことをきっかけに、CEO制度が広がったとされている。
業種別では「サービス業」での採用が多く、全体の約4割にあたる690社が該当した。とくにソフトウェア開発などの「IT産業」で導入が目立ち、スタートアップなど新興企業がCEOを肩書として用いる傾向が強い。
CEO全体の平均年齢は約54歳で、「代表取締役(社長・会長)」の約60歳よりも6歳ほど若い。年代別にみると、CEOを採用する企業の約1割が「30歳代以下」、約4割が「40歳代以下」だった。
一方、「取締役社長・会長」を採用している企業では「40歳代以下」の割合が18.8%にとどまり、CEOを名乗る経営者は若年層に多い傾向が明らかになった。
業歴の長いソフトバンクグループなど大企業でも、海外市場への展開を進める過程でグループ全体にCEO職を設ける例が増えている。また、外部投資を受けたい起業家が自らCEOを名乗るケースもあり、制度導入の背景は企業によってさまざまだ。
帝国データバンクは「2025年8月時点で『CEO企業』はさらに増加している。経営トップのあり方として『CEO』が特別でなくなる日はそう遠くないだろう」と指摘している。
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