従来の足で稼ぎ、トーク力やコミュニケーション能力で勝負する営業スタイルはもう"無理ゲー"化している。
営業職を志す人がどんどん減っている中、個人の「トーク力」や「キャラ」に頼り売り上げを立てる、従来の営業スタイルからの脱却が求められている。
ではどうしたら、長く続いてきた「自己中な営業スタイル」から脱却できるのか。顧客のことを深く理解し、信頼関係を築くための方法として注目を集めるのが「眼前可視化営業」である。
「顧客の目の前でメモを取りながら商談を進める。視覚情報で共有することで、顧客へのヒアリングの質が高まり、営業活動の生産性が上がる」──こう話すのは、『とにかく可視化―仕事と会社を変えるノウハウ―』(新潮新書)の著者である菊池明光氏。
菊池氏はリクルート在籍時、営業成績ビリからトップ営業へと転身した実績を持つ。顧客へのヒアリングをする際に意識するべきポイントはあるのか。どうしたら顧客の“真の課題”を聞き出すことができるのか。今回の記事では、眼前可視化を支える「ヒアリング能力」を伸ばすコツを聞いた。
聞き手はopenpage代表取締役の藤島誓也氏。
※本記事で語られる「眼前可視化営業」とは、商談中に顧客の目の前でリアルタイムに議事録を作成しながら、認識をすり合わせていく営業手法を指す。
藤島氏: ここまでのお話で(参照:リクルートで成績"ビリ"→トップ営業へ 明日の商談から実施できる「眼前可視化」の効果)眼前可視化の効果はよく分かりました。でも、読者の中には「その場で議事録を書くには高いヒアリング能力が必要なのでは?」と感じる方もいると思うんですが、実際どうなんでしょう?
菊池氏: 実は、眼前で「可視化」すること自体が、ヒアリング能力を補ってくれるんです。人は耳で聞いた情報の何倍も、目で見た情報が記憶に残るとされています。
藤島氏: 確かに、話しているだけの商談って、双方が内容を忘れながらそれっぽく話していることが多いですよね。
菊池氏: 耳は“ばか”だから目を使おうと。お客さまの回答を2段階、3段階と深掘りするには、目で情報を見せていないと難しいんです。
藤島氏: 商談って60分話すと、文字に起こすと大体2万字くらいの情報量になりますよね。それを記憶だけでカバーするなんて、それこそ無理ゲーです。
菊池氏: 書いたものを一緒に見ながらヒアリングする方がはるかに簡単。何もない中でやるほうが無理なんです。書き込みながらヒアリングすることで、顧客のことを正しく理解できる。
また、記憶は曖昧(あいまい)になりますが、文字で残っていれば、顧客の課題や温度感まで鮮明に思い出せますよね。次の商談の準備も格段にやりやすくなります。
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