百貨店を主戦場にしてきたアウターのアパレル各社は、コロナ禍で売り上げが激減。衣類製造のための稼働がなくなった工場と協力し、布製マスクを製造してマスク不足に悩む消費者に提供するなど、苦境の中での対応が続いた。
しかし、コロナの収束とともに百貨店が再開。加えて円安を背景にインバウンド客が一気に戻り、アウターウエアの業績は回復傾向にある。
オンワードホールディングスの2025年2月期連結決算は、売上高2084億円(前年同期比9.9%増)、営業利益102億円(同9.8%減)。増収減益となったものの、前年の営業利益が115.9%増と大きく伸びた反動があるため、今回の減益は過度に心配しなくて良いだろう。
決算書によれば、賃上げによる人件費上昇や、コロナからの回復局面で増加した旧年品在庫の調整が、減益の主な要因となっている。
同社は、レディースの「23区」やオーダースーツの「KASHIYAMA」といった主力ブランドが堅調に推移している。
23区は、今年9月6日にブランドの世界観を集約したフラッグシップショップ「SALON 23区」を阪急うめだ本店にオープンした。
レーベルやサイズバリエーションをフルラインアップし、インポートアクセサリーやデニム、雑貨まで取りそろえることで、23区の最新スタイルを体験できる空間を設計。さらに、インフルエンサーを招いたイベントを定期的に開催し、3Dボディスキャナーによる骨格診断など、顧客に最適なスタイリング提案を行う“体験型ショップ”として機能させている。
KASHIYAMAは全国60店舗以上に規模を拡大した。同ブランドは2017年10月に「オーダースーツの大衆化」を掲げてスタート。店頭や自宅でプロが採寸し、デジタル化したデータを中国・大連の自社工場へ送り、3万円台から自分の体型に合ったスーツが手に入る仕組みを構築した。百貨店依存からの脱却を目指すオンワードにとって、KASHIYAMAは象徴的なブランドとなっている。
アパレルのトレンドは、誰がつくっているのか
なぜ、ファミマで「普通の服」を売ろうとしているのか 「ユニクロ並み」価格を実現できた背景Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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