「営業配属だけは絶対イヤです」──若者の営業志望率が低下している。近い将来、さらなる低下が予想される。
これまで、「気合で乗り切れ」「俺の背中を見て学べ」──こうしたマッチョな営業文化が、若手の心を折ってきた。
「俺はこれで成功してきた」と語るベテランの存在こそが、組織を硬直化させ、若手を遠ざけている。トーク力とキャラで売る時代は、もう終わった。そもそも、これまでの体育会系な営業スタイルは、モノづくりや技術力に強みを持つ日本企業には、本当はフィットしない。営業の抜本的改革が求められている。
ここまで、前編・中編を通じて、顧客の目の前でメモを取りながら商談を進める「眼前可視化」という手法の有効性と、営業パーソンが身に付けるべきヒアリング能力を伸ばすコツを紹介した。今回の記事では、営業パーソンの減少が見込まれる中で、“属人化”の課題をどう解決していくべきか、考えていきたい。
話し手は、リクルートで成績ビリからトップ営業へと転身した、『とにかく可視化―仕事と会社を変えるノウハウ―』(新潮新書)の著者である菊池明光氏と、openpage代表取締役の藤島誓也氏。
※本記事で語られる「眼前可視化営業」とは、商談中に顧客の目の前でリアルタイムに議事録を作成しながら、認識をすり合わせていく営業手法を指す。
菊池氏: 営業職を嫌がって、マーケティングや企画職に行きたがる若手が本当に増えています。なぜ営業が嫌なんでしょうね?
藤島氏: SNS時代の今って、自身でアカウントをフォローすると、その後は興味がある投稿がアルゴリズムで勝手に提案されますよね。つまりデータ活用型なんです。プラットフォームが丁寧に理解しようと努めた上で、相手に合わせて提案している。一方で今の営業って、相手の話を聞かず、説き伏せるようなイメージがある。全然時代に合っていないのではないでしょうか。
菊池氏: 「俺はこれで成功してきた」という成功体験が、かえって組織を硬直化させているわけですね。
トーク力に頼る営業は、お客さまを置き去りにしているんです。営業会議も「今月の数値は何件?」「気合で何件やれ」という会話ばかり。このままだと、どんどん優秀な若手が営業から離れていく。
藤島氏: 特に日本のB2B企業、例えば製造業や商社、システム開発会社などは、営業の属人化が深刻だと感じています。専門的な技術営業の属人化ですね。高い技術力を持っていながら、その売り方や顧客とのやりとりを言語化できていない企業が多い。
菊池氏: 日本のメーカーって、すごい技術を持っているんですよ。でも、その営業がお客さまと複雑な技術的な話をして持ち帰りながら進める商談って、めちゃくちゃ難易度が高い。結局、顧客と何を話したのか、何も企業の中にたまっていないケースが多く見られます。
藤島氏: しかも「背中を見て学べ」と言われる。新人はどこでつまずくかというと、前回の商談で何を話したか記録が残ってない。商談ではとてつもない量の情報がやりとりされているが、耳で聞いただけでは覚えられないというわけです。
菊池氏: 「背中を見て学べ」って、もう“暴力”のようなものですよ。パワハラに近い。教育放棄の言い訳でしかないんです。眼前可視化すれば、そういった問題も解決できます。技術系の企業の場合は、顧客だけでなく、社内の開発、技術、品質管理の部門も議事録を見せることで、貴重な顧客の声が製品開発に生かすことも可能になります。
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