ただ、このような分野よりも深刻なダメージがあるといわれているのが、「観光」だ。
野村総合研究所(NRI)のエグゼクティブ・エコノミストである木内登英氏は、2012年の尖閣諸島国有化による渡航自粛呼びかけで中国人観光客が25.1%減っていることから、同様の事態が起きた場合、1年間のインバウンド消費が1兆7900億円に減少すると試算している。
しかも、この消費減は幅広い業界・業種に影響を及ぼす。ご存じのように、「観光」というのは裾野が広く、ホテルや宿の宿泊業だけではなく、飲食店、コンビニ、小売店、アパレル、ドラッグストア、レンタカー、博物館や美術館といった文化施設など、多くの人が何らかの形で関わっていて、政府の試算では、その数は900万人に上るとされる。
つまりインバウンド消費が1兆7900億円落ち込むということは、その900万人も何らかの形で不利益を被るのだ。
これには「オーバーツーリズムが解消されることの経済効果でチャラだろ!」「日本は世界中で人気なので中国人が来なくても痛くもかゆくもない!」という意見も多いはずだ。
ただ「現実」を見ると、そう勇ましいことばかり言っていられない。
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