観光分野から手を引いた場合、どの産業を育成すれば「消費者激減」という課題を解決できるのか。最近はすぐにロボットやAIという言葉で現実逃避をする人も多いが、ロボットもAIも生産活動の助けにはなるが、メシを食うわけでもないし、ショッピングもしない。つまり、「消費」をしないのだ。
こういう「現実」を踏まえると、国民の6割強がサービス業で働いているこの日本では、外食、宿泊、小売などを幅広い裾野を持つ、「サービス業の集大成」とも言うべき「観光」から手を引くことは難しい。
そういう日本経済の弱点を、中国もよく分かっている。だから高市政権をけん制するためにまずは「渡航自粛」を呼びかけたのだ。
これにはあまり効果がないという意見もあるが、やはり中国の「反日プロパガンダ」には根深いものがある。冒頭でも述べたように2025年、「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」ということで、日本軍の戦争犯罪を扱う映画が多数公開された。
そんな反日プロパガンダがボディブローのように日本にダメージを与えている。中国に進出する日系企業が加盟する「中国日本商会」が8月、日系企業1400社あまりにアンケートを取ったところ、48%の企業が「売り上げが悪化した」と答えているのだ。
レアアース、医療、そして観光と、日中対立激化で悪影響を受ける分野を列挙してきたが、実はこれらと少し異なるリスクが高まっているところがある。それは「中国人労働者」を受け入れている事業者だ。厚生労働省によると、中国人労働者は40万8805人いて、製造業、医療・福祉、建設、そしてコンビニなどの小売業で多く働いているという。
このような職種・業界の人は、中国人労働者への対応にこれまで以上の注意が必要である。もしそこで暴言やハラスメント、過重労働や時間外労働などのトラブルがあった場合、中国側に政治的に利用され、大きな問題として批判される恐れがあるのだ。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
東横インの「47都道府県バッジ」が人気 富士山は静岡か山梨か、小さな争奪戦
キムタク、長澤まさみ、横浜流星、羽生結弦――なぜ中国ブランドは国民的スターに頼るのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング