リテール大革命

データを紙・Excelで“バラバラ”管理 松屋が店舗運用のデジタル化を「現場主導」で成し遂げられた理由(2/3 ページ)

» 2025年12月01日 10時30分 公開
[渡辺まりかITmedia]

緊急性の低いバックオフィス業務は情報シスの対応順番待ち 非IT人材でデジタル化実行へ

 既存システムの改修で対応しようと考え、情報システム部に相談したところ、「全社のITインフラを支える情報システム部では、喫緊で行わねばならないことが多く、現状のリソースで、緊急性の低いバックオフィス業務改善へのリソース配分は難しい」という回答があった。

理由 情報システム部は、常に喫緊の課題に対処しなければならなかったから対応が難しく、内製を決めた

 そこで考えたのが、ノーコードツールを使った現場主導の開発だった。これなら情報システム部に頼らずに済む。

ノーコード ノーコードツールなら自分たちで開発できるので、情報システム部への依存度が低いと判断した

 機能要件として挙げたのは、次のようなものである。

  • 高度なデータベース
  • 期限と進捗の管理、柔軟な通知機能
  • 高機能なワークフロー
  • さまざまな業務に応用できる汎用性

 これらの要件を満たしつつスピード感を持って開発できるツールとして、ドリーム・アーツが提供する大企業向け業務デジタル化クラウド「SmartDB」を採用。対象業務を店舗管理以外にも広げ、会社プロジェクトとして参加してくれる人を募ったところ、各部門から手が挙がった。

 プロジェクトはすぐにも成功するかに見えた。しかし、「完璧な形でリリースしたいという考えが足を引っ張っていた」と齊藤氏は当時を振り返る。

 「やりたいことがどんどん増えていった。そのため、完成形が見えないことによる疲弊、所属する部署の繁忙期への突入、部署異動などによりプロジェクトが頓挫してしまった

頓挫した 完璧さを目指したがゆえに、それが足かせとなり挫折してしまった

 齊藤氏はそこで諦めることなく、方向転換をすることにした。「フェーズを細かく分け、段階的にリリースしていこう」と。

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