実際、まいばすの店舗配置図(図表4)を見ると、東京23区や川崎、横浜に集中していることが分かる。
ここで経済産業省統計「経済センサス」小売業調査(令和3年)のデータから、都道府県別、政令都市別の、食品販売店の規模ごとの販売額を示した図表5と図表6を見てみたい。
図表6。政令指定都市別の食品販売店の規模ごとの販売額(出典:経済産業省「経済センサス 令和3年 活動調査 卸売業、小売業に関する集計」。左軸:食品小売業販売額、単位:億円、右軸:小規模事業所の販売割合)都道府県別では、小規模店舗の生き残り率が高いのは3大都市圏、札幌、福岡である。さらに政令都市で市場規模(青い部分)が大きいのは、東京23区、川崎、横浜という連続した地域だ。
つまり、まいばすは小規模店が生き残っている地域を狙って出店しているのである。
都市部で小規模店が生き残っているのは、これまで不動産コストや空き地の関係で、中大型スーパーの密度が低かったエリアであるためだ。そこに、小型店とはいえ大手のチェーンインフラに支えられた店舗が多数展開されれば、中小零細資本は今まで以上に厳しい競争環境にさらされる。これは他の地域で小規模店が存在感を失っている事実を見れば明らかだ。
また、まいばすやトライアルGOが成功することで、コンビニを含めた大手食品小売チェーンが、同様の小型店モデルを首都圏や京阪神に投入してくるだろう。まいばすの平均店舗売上は2.4億円であり、損益分岐は2億円ほどとみられる。そのため、一旦出店したら、大規模店舗のように閉店することは考えにくく、しぶとく生き残る可能性が高い。
まいばすやトライアルGOのような都市型小型スーパーの拡大は、中小零細小売業の最後の生息地であった首都圏、京阪神の流通の勢力図を大きく変えるきっかけとなるだろう。
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