足元では、国内の消費環境が著しく変化している。外食店の価格はここ1〜2年で大幅に上昇し、沖縄においても、以前は当たり前のように見られた「500〜600円で山盛り」というような大衆食堂や路面の弁当屋は激減した。
一方、仕入れ価格の上昇はあるものの、スケールメリットを持つコンビニ業界では、値上げ幅を比較的抑えることができていると、岸本氏は見る。肌感覚では「特にこの半年ほどで、コンビニの商品が相対的に高くないと感じるようになりました」と言う。
こうした環境変化も踏まえ、沖縄ファミマが目指すのは「ファミマに行けば事足りる」存在になることだ。換言すれば、ファミリーマートをより“目的地化”する未来を描く。
例えばコンビニに置くTシャツや靴下などの衣料品は、かつては緊急需要が中心だったが、今では「デザインが気に入ったから」という理由で購入する客も増えているという。前編で述べた通り、市場の大きな沖縄そばも価格高騰が続いており、味や量に遜色がなければ「コンビニを選ぶ人が増えると思います」と見通す。
こういった地元客が増加すれば、その影響は観光客にも波及すると考える。「ポーク玉子おむすびや沖縄そばなどの中食で言えば、地元の方に2回、3回と手に取ってもらえるものであれば、人づてやSNSなどで『ファミマの沖縄そばを食べた方がいい』と広まる可能性は十分にあります。そうしたら、観光客にとってもファミマが目的地化していくと思います」と説明する。
短期間で全国トップクラスの激戦区となった沖縄。今夏には新たなテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業するなど相変わらず観光関連の投資が旺盛であり、消費行動は堅調だ。沖縄観光コンベンションビューローは2025年の入域観光客数について、初めて1000万人を突破した2019年の1016万人を超え、過去最多を更新する見通しを示す(参照:日本経済新聞「沖縄県の25年観光客、過去最高の1088万人 観光財団予測」)。人流が増えれば、コンビニの競争環境がさらに激化するのは自然な流れだろう。
沖縄ファミマが掲げる「地域ド密着」の進化はどこまで続くのか。今後も注目だ。
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