そもそも「買えない」とは何だろう。
世の中には、金を積んでも手に入らないものがある。例えば星の名前。国際天文学連合は命名権を売らない。「夜空は全人類の共有財産」というのが理由だ。古い寺には「秘仏」(仏像)があり、数十年に一度しか開帳されない。拝観料を払っても見られない。見せないことが、価値なのだ。
では、Visa Infiniteが提供する体験はどうか。
石川遼とラウンドする機会は、チャリティーイベントや企業の接待枠を探せばゼロではない。トップシェフの料理は、予約さえ取れれば店で食べられる。
つまり「買えない」のではない。「売っていない」のだ。
もっと言えば、売り場がない。石川遼とラウンドしたくても、一般向けの“申し込み窓口”は存在しない。星の名前やノーベル賞とは違う。禁じられているわけではない。ただ、アクセスがない。
Visa Infiniteがやったのは、市場にないものを商品化したことだ。売り場を作った。買えなかったものが、買えるようになった。矛盾は解消された――ように見える。
だが待ってほしい。
会員になれば誰でも参加できるわけではない。イベントは抽選だ。年会費を払っても当選しなければ体験できない。「買えるかもしれない権利」である。
これは、秘仏と同じ仕組みだ。簡単には見られないからこそ、価値が出る。手に入らない“かもしれない”からこそ、欲しくなる。もし禅の師匠がいたら、きっと微笑むだろう。分かったつもりになった瞬間、また新しい疑問が生まれるからだ。
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