全国に約2650店舗を展開するツルハホールディングスでは、長い間店舗のデータを社内システム、各部門が管理するExcel、紙などに分散管理していた。
「データのフォーマットもばらばら。やっとの思いで集めた情報も矛盾だらけで、整合性が取れないという状況だった」──財務経理本部 IR・予算管理部部長 若林慧氏はこう振り返る。
“悲惨”だった同社の店舗データ基盤を整理し、たった一人で“神様データ”へと変貌させる「ひとりDX」を成し遂げたのが若林氏だ。
変革の最中、財務諸表の誤謬(ごびゅう)という全社的な危機に直面。上場廃止リスクもはらむ究極のピンチも経験した中、課題であった「土地契約管理」のデジタル化も同氏が進めた。
「非デジタル人材」である若林氏はいかにして巨大組織のデータ基盤を整え、未曽有の危機に挑んだのか。ツルハHD、驚異のDXストーリーに迫る。
本稿は、11月14日にドリーム・アーツが開催した「デジタルの民主化DAY」においてツルハホールディングスが登壇した「ひとりDXが生んだデジタル変革の渦 現場起点の改善が会社のDX基盤に」の内容を一部抜粋・編集した。
若林氏は、いわゆる“非デジタル人材”だ。入社後5年間は店舗運営に携わり、人材採用部、経営企画部を経て現在IR・予算管理部の部長を務めている。
経営企画部時代、会社の未来や方向性を明確にする予算編成を実行するため、現時点でのコストや売り上げを正確に把握することが重要となった。
しかし、若林氏が当初目にしたのは「情報の荒野」とも呼べる“悲惨”な状況だったという。
「全国に2650店舗もあるのに、それらの情報は社内システム、各部門が管理するExcel、紙などに分散管理されており、ルールもフォーマットもバラバラ。やっとの思いで集めた情報も矛盾だらけで整合性が取れないという状況だった」(若林氏)
企業の基盤である店舗マスタが長期間放置されていたのには「縦割り組織の壁」「個別最適」「属人化」──という3つの理由がある。
若林氏が「店舗マスタのシステム導入プロジェクト」を立ち上げ、関係各所に働きかけ始めると、実は同様のプロジェクトが進行中であることが分かった。にもかかわらず、実際に進んでいないのは、要件整理に時間がかかっていたからであった。
そこで若林氏は進行中のプロジェクトとは別に「プロジェクトの下準備という位置付けで、2年間限定のシステム導入をさせてもらえないか」と上長に掛け合い、ドリーム・アーツの提供するSmartDBによるデータベース作成を導入した。スピーディーに実装できること、非デジタル人材でも開発可能なノーコードのクラウドサービスであることを重視してシステムを選定した。
こうして、2024年6月にSmartDBを導入した“ひとりDXプロジェクト”がスタートしたのだ。
データを紙・Excelで“バラバラ”管理 松屋が店舗運用のデジタル化を「現場主導」で成し遂げられた理由
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