ゲオがアパレルに参入したのは、2022年である。右も左も上も下もよく分からない中で、グローバル展開をしている会社と“がっぷり四つ”に組んで戦っても、結果は見えている。
業界のトップランナーは高機能の素材を開発しているし、多くの人に好まれるデザイン力もあるし、データを分析する人材もそろっているし、国内外でブランド力があるし。なにからなにまで圧倒的な差があるなかで、突破口はどこにあるのか。そう考えた末に、たどり着いた答えが「価格」だったわけだ。
ゲオのアパレル戦略でユニークな点は、ルームウェアに特化していることである。「スウェットは家で着てもらって、外出するときは近所のコンビニまで」といった具合に、コンセプトが明確なのだ。
「スウェットはペラペラなので、風が強い日に外出すると、隙間から風がビュービュー入ってくるんですよね。ですので家の中であれば問題はないですが、外出するときにはワンマイル程度にしていただければ」(松岡さん)
アパレルのキャッチコピーを見ると、次のような言葉をよく目にする。「家でも外でも、オシャレでカッコよく」――。だが、しかし。ゲオの担当者からは「ペラペラ」とか「風がビュービュー」といった表現が出てくる。こうした言葉が使われるのは、単に「謙遜」や「自虐」によるものではなく、「テレビ」が大きくかかわっているようだ。
このような話をすると、ピンときた人もいるかもしれないが、ゲオの店内にはDVDやCDが並んでいる。テレビやイヤフォンもあるし、マクラもある。そうした商品が並んでいる中で、スウェットを見た消費者は、このように感じるかもしれない。「映画やドラマを見るときに、この服を着るといいかも。家でゴロゴロしたいときにピッタリだ」と。
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