中出: 今後、さまざまなデータをMCP(AIエージェントと社内システムを連携させるための規格)やA2A(Agent to Agent、異なるAIエージェント同士が協調するための規格)でつなげ、それらをアウトプットしていく──という世界になっていくと思います。その中で、エージェントのシステムの在り方が今後どう変化していくと予想されていますか?
大場: 現在、MCPやA2Aを含めて、プラットフォームのAIエージェント機能拡張を進めています。安定性とセキュリティは大前提として、私が重要視しているのは4点です。
1点目はスケーラビリティ(拡張性)。2点目が経済性。3点目はオブザーバビリティ(可観測性)。4点目はピボット性(柔軟に方向を変えられる機動力)です。
AIエージェント時代のアーキテクチャについては、AIを取り巻くダイナミックな変化に対する柔軟な対応と、スケーラビリティの両立が鍵になると考えています。
モデルの進化のみならず、モデル周辺の技術も大変重要であり、AIエージェントを取り巻くツールやインターフェースについても、進化と変化が続くことは明白です。
多くの企業がユースケース別に優れたAIエージェントを提供し始めており、この優れたAIエージェントをソニーグループのAIエコシステムに適切かつ柔軟に取り入れ、管理し、使い分けることが求められると想定しています。AIモデルのみならず、あらゆるAI関連機能のリーダーが変わることを前提に、常に良い技術、優れたモデルにピボットできるよう、マルチLLMのみならず、マルチAIエージェント戦略をとれるアーキテクチャに拘っています。
その上で、経済性と機能性を両立すべく、良いAIエージェントの共有性や再利用性の追求も重要だと考えています。事業領域や職種に寄らずに技術として共有できる機能が増えています。例えば、Deep Researchのような機能は、目的やユースケースは異なっても、技術としては流用可能です。この共有性と再利用性を高めるには、個別最適と共通機能の適切な分離が肝であり、アーキテクチャとしても対応しています。
そして、これらを正しく運用し、適切に舵を切る上で、ソフトウェアやシステムの状況を可視化、理解する「オブザーバビリティ」が重要になります。特に自律的なアクションやAI同士の連携が行われるAIエージェントにおいては、安心安全、心理的安全性の担保が重要であり、その証明も企業のAI活用において必須の機能です。アーキテクチャとしても、多面的なオブザーバビリティの確保と、オブザーブされたデータによるガードレールや評価の機能を重要視しています。
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