深刻化する人手不足の中で、財務・会計の現場でも効率化は待ったなしだ。しかし、多くの企業が変革を急ぐべきだと理解しつつも、DXの成果を実感できないという葛藤を抱えている。
KPMGジャパン(東京都千代田区)が国内上場企業のCFOを対象に実施した調査によると、管掌する領域でDXの成果が出ている実感を得ているのは約3割という結果に。過半数が「DXの成果はこれから」と捉えていた。
経理財務部門の人員リソースが「不足している」と捉えているのは80%だった。同社は「増員のほか、深刻化する働き手減少を踏まえて、システム化、業務改善といった複数の施策を並行して進める企業が多い」とコメントしている。
しかし、それらの施策が成果として現れている割合は高くないのが現状だ。
管掌領域におけるDXの成果については「DXが進んでおり、業務の効率化と意思決定の高度化で成果が見られる」が2%、「一部でDXが進んでおり、主にデータ活用による意思決定の高度化で成果が見られる」が7%、「一部でDXが進んでおり、主に業務の効率化で成果が見られる」が22%だった。これらを合算すると、DXの成果を実感している企業は31%にとどまった。
「DXの成果はこれから」が54%、「DXは未着手」が16%で、管轄領域のDXは多くの企業で道半ばにあることが示された。
また、「1年前と比べて経営環境の不確実性が高まっている」と回答したのは62%。社会の変動に伴い、企業経営における不確実性が高まっていることが浮き彫りになった。
企業価値向上に向けた自社の取り組みを、投資家から「評価されている」と捉えているのは42%だった。一方で、CFO自身が「開示」に課題があると評価した割合は90%、「実行」に課題があるとした割合は91%に上った。
調査は、上場企業のCFOまたは経理財務部門の責任者を対象に8月4日〜10月3日にインターネットで実施した。有効回答企業数は537社。
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