SaaS is Dead論は、SaaS企業で働く人々にも影を落とした。SmartHRの社員からも「自分たちの領域はDeadなのか」と不安の声が上がったという。
だが、その不安は薄れていった。ある社員はこう話す。「社長が断言してくれたから大丈夫だと思えた」。芹澤氏が社内で繰り返し語ってきたAIへの見解──「得意不得意がある」「一般化しすぎない方がいい」「テクノロジーは使い分けるもの」──が、現場の支えになった。
芹澤氏自身はエンジニア出身である。AIの技術を深く理解した上で、その可能性と限界を冷静に見ている。「変に楽観視しているだけかもしれないが」と笑いつつも、その言葉にはSaaSの現場で積み重ねてきた経験の裏付けがある。
SaaS is Dead論の問題は、すべてのSaaSをひとまとめにして語ったことにある。業務領域によってAIの影響度は異なり、入力と参照では変化の度合いも違う。独自データを持つSaaSと持たないSaaSでは、競争環境も変わってくる。芹澤氏が繰り返し語った「一般化しすぎない方がいい」という言葉は、AI時代のSaaS論に欠けていた視点を突いている。
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