市場の誤解は、ANYCOLORとカバーを「同じビジネスモデル」と混同し、同一の物差しで評価してきたことに起因するのではないか。
カバーがリスクを取って「文化」や「インフラ」を作ろうとしている姿勢は、エンターテインメント企業として真っ当な野心といえる。しかし、それは将来的に低収益体質に着地するかもしれないという不確実性と表裏一体だ。投資家は不確実性を一番嫌う。
対してANYCOLORは、成長率こそ鈍化したものの、盤石な財務基盤が残った。株価調整後、過度な成長期待というプレミアムが剥がれ、その実力に見合った評価へと落ち着く段階なのかもしれない。
ANYCOLORはカバーに先んじてグロース市場からプライム市場へ鞍替えした。これに象徴されるように、ANYCOLORはもはや期待だけで買われるボラティリティーの高いグロース株ではない。潤沢なキャッシュフローを背景に、配当や自社株買いなどの株主還元を継続的に行えるフェーズへ移行したとみるべきだろう。
メタバース創設に巨額を投じ、新たな文化圏を創ろうとするカバーの姿勢は、エンターテインメント企業として尊い挑戦であることは確かだ。そのロマンが実を結ぶ日が来るかもしれない。しかし、投資家が求める実利を今、高い純度で提供しているのがANYCOLORであることもまた事実だ。
夢を追うカバーと、現実を極めつつあるANYCOLOR。両社の今後を引き続き注目したい。
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