住信SBIネット銀行が「ドコモSMTBネット銀行」に――通信×銀行×信託の三位一体で狙う「インビジブルバンキング」とは(3/5 ページ)

» 2025年12月22日 13時12分 公開
[斎藤健二ITmedia]

2026年8月から始まる「お得」の設計

 KDDIにはauじぶん銀行、ソフトバンクにはPayPay銀行、楽天には楽天銀行がある。大手キャリア4社の中で、ドコモだけが銀行を持っていなかった。通信料金収入の成長が頭打ちとなる中、各社は通信を軸にポイント、決済、金融サービスを組み合わせた「経済圏」の構築を競ってきた。銀行は、ドコモが待ち望んだ最後のピースだった。

 なぜ銀行なのか。前田社長はその理由を数字で示した。「dポイント、dカード、d払いの3つをセットでお使いいただいている顧客の解約率は、使っていない方に比べて3分の1以下に低下する」。金融サービスの組み合わせが顧客を囲い込む効果は実証済みだが、問題は連携の仕方にあった。

 「それぞれを一個一個バラバラと連携させるしかなかった」と前田社長は振り返る。銀行口座があれば話は変わる。給与の受け取り口座に設定してもらえれば、そこからdカードの引き落とし、d払いへのチャージ、投資へと自然につながっていく。銀行を「ハブ」に据え、顧客の生活動線そのものを取り込む構想だ。

 前田社長が掲げる目標は「2030年までに金融売上を倍に」。約9100万人のdポイント会員基盤をどこまで銀行口座の開設につなげられるかが勝負になる。住信SBIネット銀行の円山社長も「従来の年率10%、20%ではなく、はるかに高い非連続な成長を目指す」と呼応した。

 この構想を形にするのが、社名変更と同時に始まる協業施策だ。設計思想はdポイントを軸にしたものだ。銀行口座を使えば使うほどdポイントがたまり、たまったポイントがさらにドコモのサービス利用を促す好循環を作る。

 具体的には、給与受け取りや口座振替といった日常的な利用でポイントを付与し、dカードの引き落とし口座に設定すれば買い物時の還元率も上がる。住宅ローンにはドコモサービス利用者向けの金利優遇を設け、三井住友信託銀行の資産運用や相続サービスとも接続する。さらにマネックス証券との口座同時開設や、預金と証券の間で資金を自動移動させるスイープ機能も導入予定だ。銀行口座を起点に、ポイント、決済、ローン、投資までが一気通貫でつながる。

dポイント会員基盤を銀行口座の開設につなげる狙いだ

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