文部科学省の調査によれば、日本の高校生の海外留学者数は2017年度に過去最多の4万6869人に達した。しかし、新型コロナウイルスの影響で2021年度には3118人にまで激減。その後、渡航制限の緩和に伴い回復傾向にあるものの、2024年度時点でもコロナ禍前の水準には戻っていない。
より深刻なのは、留学の「質」の問題だ。高校生留学の大半は3カ月未満の研修旅行・短期留学であり、3カ月以上の長期留学に至っては年間わずか4000人程度。高校生人口に対する長期留学率は0.1%、つまり「1000人に1人」にすぎない。1000人規模の高校でも、長期留学経験者は1人いるかどうかという計算になる。
この現状に危機感を抱いた日本政府は、2023年4月に「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」(通称:J-MIRAI)を取りまとめ、2033年までに高校生の留学者数を12万人に引き上げる野心的な目標を設定した。短期の研修旅行が4万3000人から11万人へ、3カ月以上の留学が4000人から1万人へと、いずれも2.5倍程度増やすことを目指している。
国の方針を受け、主要自治体も独自の支援策を打ち出し始めている。注目すべきは、従来の短期研修にとどまらず、長期留学への本格的な財政支援に踏み込んでいることだ。
横浜市は2025年5月に「横浜市世界を目指す若者応援事業」の申請受付を開始した。市内在住・在学の高校生を対象に、90日以上1年以下の長期留学に対して最大150万円を補助する制度だ。これは前年度の上限40万円から大幅に拡充された。加えて、14日以上90日未満の短期留学についても、新たに上限20万円の補助制度を新設した。
大阪府は2025年度から「全府立高校海外短期留学支援事業」を開始。これは、全府立高校に海外の高校と姉妹校提携させ、1校あたり20人程度を現地に短期留学させるというものだ。期間は10日間程度を想定し、1人あたり10万円を補助する。
東京都も2025年に大学生などを対象にした都独自の海外留学支援制度「東京グローバル・パスポート」を創設。所得制限を設けない助成で、短期コースには渡航費・授業料として最大90万円、4カ月以上の中長期コースには最大315万円を支援する。
こうした動きの背景には、文部科学省が展開する「トビタテ!留学JAPAN」の存在がある。民間企業の寄付を原資とした返済不要の奨学金制度で、2025年度は高校生などが対象の「新・日本代表プログラム」として700人を募集。トヨタ自動車やソニー、日立や富士通など名だたる企業がスポンサーとして名を連ねており、産業界のグローバル人材育成への関心の高さがうかがえる。
3年間で1000万円以上も……高校生留学は「投資」か AI時代に問われる意義
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