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ロート製薬「エントリーシート選考廃止」は、30年続く“とりあえず就活”を変えるか河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/3 ページ)

» 2025年12月25日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]
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”とりあえず”は軽すぎる

 「この会社で働きたい」「成長したい」という強い意欲や動機付けは、社会心理学では「動機付け」(Motivation)や「組織コミットメント」(Organizational Commitment)といった概念と深く関連し、具体的な行動を実行し、その行動を持続させる心理状態につながります。社会心理学ではこれを「行動意図」(Intention)と呼びます。

 行動意図の重要性を説いた社会心理学者のイセク・アズゼン博士は、計画的行動理論(Theory of Planned Behavior:TPB)の中で、以下の3つの要因の重要性を指摘しました。

  • 態度 (Attitude):その行動をどう評価しているか
  • 主観的規範 (Subjective Norm):周囲の重要な他者からその行動を期待されていると感じるられるか
  • 知覚された行動のコントロール感(Perceived Behavioral Control: PBC):その行動を実行することが自分に可能であると感じられるか

 これら3つの要因を採用時に大切にすることは、「未来の仲間」を作る上で極めて重要です。特に、知覚された行動のコントロール感(PBC)=「自分にはできる」と信じられれば、困難な状況に遭遇しても、「何とか乗り越えよう!」という意識が強くなります。

 とはいえ、一人きりでがんばるのはしんどいし、限界もある。だからこその「COMPANY=共にパンを食べる仲間」なのです。

 お互いに信頼し、敬意を示し、共感する。それを実現するには、最初の一歩である「就職活動」は極めて重要です。採用する過程は、自分たちの組織に適応できる人物かどうか、相性の良い相手かどうかを見極める重要な機会であるとともに、組織の一員として迎え入れるべく、組織社会化の教育を行う大切な時間でもあります。

 「就職先を志願する」ということは、人生の中で最も重みのある大切な行為の一つです。たとえその先に転職することがあろうとも、最初に就いた仕事は、その後のキャリアに大きな影響を及ぼすため、重要な道標でもあります。

 そんな大切な行事に”とりあえず”は軽すぎます。うまく働けない若手社員や、彼ら・彼女らの教育に苦悩する管理職たちも、「とりあえず思考」なるものが一因になっているのではないでしょうか。

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)、『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか - 中年以降のキャリア論 -』(ワニブックスPLUS新書)、『働かないニッポン』 (日経プレミアシリーズ) 、『伝えてスッキリ! 魔法の言葉』(きずな出版)など。

 新刊『「老害」と呼ばれたくない私たち  大人が尊重されない時代のミドル社員の新しい働き方』(日経BP 日本経済新聞出版)発売中。


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