人的資本経営の掛け声のもと、多くの企業がタレントマネジメントシステムを導入した。あれから5〜6年。「本当に使えているのか」と問い直す動きが広がっている。
「各社の人事部長と話していても、使い方が分からない、放置してしまっているという声が非常に多い」──人事労務クラウド大手SmartHRの芹澤雅人社長は、タレントマネジメントシステムの現状をこう語る。
労務管理クラウドでは7年連続シェア首位のSmartHRだが、タレントマネジメント領域ではカオナビやタレントパレット(プラスアルファ・コンサルティング)を追う立場だ。挑戦者が掲げるのは「タレントマネジメントの民主化」。「2026年を勝負の年」と位置付ける同社の戦略を追った。
タレントマネジメント市場急拡大の背景には3つの構造要因がある。
1つは労働人口の減少だ。企業は「大量採用で補充する」モデルから脱却を迫られ、今いる人材の能力をいかに引き出すかが課題となった。
次に人的資本開示の義務化がある。2023年3月期から大手約4000社に記載が義務付けられ、女性管理職比率や男女間賃金格差などを集計するために、一元管理されたデータベースが必要になった。
ジョブ型雇用への移行も追い風だ。KDDI、日立製作所、富士通など大手が相次いで導入し、高度なスキル管理機能が前提となった。
ミック経済研究所によると、HRTechクラウド市場は2024年度に1385億円(前年比128.5%)に達する見込み。大企業人事部門の約半数が何らかのシステムを利用中だ。
だが、導入と活用は別の話だ。
この市場には多様なプレイヤーがひしめく。カオナビは直感的なUIと定性データの要約に強みを持つ。タレントパレットは離職予兆分析など「科学的人事」を標榜(ひょうぼう)する。マネーフォワードはAIエージェントが能動的に提案する方向へ舵を切った。では、SmartHRは何を武器に戦うのか。
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