SaaSだけでは勝てない──SmartHR社長が語る タレントマネジメント市場、生き残りの突破口(3/4 ページ)

» 2025年12月26日 08時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

SmartHRの回答は「民主化」

 こうした状況に対し、SmartHRは「タレントマネジメントの民主化」を掲げる。人事部や経営層だけがアクセスできたデータを、現場マネジャーにも開放する狙いだ。

 「僕らが持っている体系的なデータを、適切な権限のもとに、必要に応じて引き出せる世界を作りたい」と芹澤氏。こうした世界観の中で、AIの役割は「サーチとまとめ」だ。

 「AIが『この人をこう育成すべきだ』と提案するのではなくて、問い合わせるのは人間」。マネジャーが問いかけ、AIがデータを横断分析して返す。「最終的にタレントマネジメントをするのは人間。そこはAIにはできない」。能動型ではなく受動型で、労務管理で培った7万社のデータ基盤を生かし、現場にまでアクセスを広げるという。

sh 「タレントマネジメントの民主化」を掲げるSmartHR

 ただし民主化には壁がある。データだ。

 「AI活用には何よりデータが必要だと分かってきた」と芹澤氏は2025年を振り返る。「データを貯めるところをもっと頑張らないといけないと立ち返り、努力してきた1年だった」

 問題は、誰もタレントマネジメントのためにデータを入力しないことにある。

 芹澤氏は「評価やサーベイなど必ずやる行為がある。ここを効率化すれば自動でデータが貯まる」と話す。つまり、日常業務の副産物として、データが蓄積される仕組みを作る戦略だ。

 2025年、SmartHRは効率化領域で成果を上げた。書類撮影で自動入力されるOCR機能や、就業規則をAIに学習させ、問い合わせに自動回答する「AIアシスタント」はいずれも好評だ。

 だがタレントマネジメント領域は「今年、それほど大きな進展はなかった」と芹澤氏は認める。「来年からはタレントマネジメントの民主化に向けて舵を切る。そこへの投資は増やしていく」。データ分析基盤の構築、それを活用したアプリケーション開発──2026年、SmartHRは本格的な攻勢に出る構えだ。

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