なぜ、これほどまでに賃上げが採用に影響するのか。若い世代の意識を見れば、その理由は明らかだ。
大学生向けアプリを提供するペンマークが2025年に実施した調査がある。対象はZ世代(1996〜2005年生まれ)の学生407人と社会人178人、計583人だ。
就職先を選ぶ際に最も重視する項目は何か。結果は圧倒的だった。
「給与・待遇がいい」が78.0%でトップ。2位の「仕事内容が魅力的・やりがいがある」は47.0%。その差は30ポイント以上である。
コロナ禍以前の調査では「やりがい」を重視する若者が過半数を占めていた。しかしコロナ禍を経て、価値観は逆転したことになる。「お金」が「やりがい」を上回るようになったのだ。物価高の影響や、将来への不安もあることだろう。
いずれにせよ、Z世代にとって「給与・待遇」は就職先を決める最大の要素である。この現実を直視しなければならない。
他にも興味深いデータがある。Z世代の出世に対する意識だ。
同調査において「特に出世は望まない」「現場で専門性を高めたい」と答えた人は32.1%に上った。昇進よりも、自分のスキルを磨くことを重視する傾向がうかがえる。
副業・兼業への関心も高い。「条件や機会があればしてみたい」「積極的にしたい・興味がある」と答えた割合は、学生で72.9%、社会人で79.0%に達した。
退職・転職への抵抗感も低い。社会人の20.5%が「頻繁に退職・転職を考える」と回答しており、「時々ある」を含めると6割以上が転職を視野に入れていた。
退職代行サービスへの意識も象徴的だ。「特別な事情がある場合に役立つ」が51.7%、「非常に有効なサービス」が12.5%。「好ましくない」はわずか4.7%だった。
これらの結果から、Z世代は一つの会社に依存しない働き方を志向しており、退職のハードルはかつてないほど下がっていることが分かる。Z世代は「給与・待遇」で会社を選び、合わなければ躊躇なく辞める。この傾向は今後も強まっていくだろう。
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