次にAI エージェントの特性と、その活用機会について解説する。AI エージェントはAIワークフローに比べ、より高い自律性を有する。人間が全ての手順をあらかじめ指示しなくても、大規模言語モデル(LLM)などを活用し、与えられた目的を達成するために、状況変化に応じて柔軟に自らの行動を変えることができる。
前述の「買掛金計上」の例で説明すると、仕入先からの請求書のファイル形式がいつもと異なっていた場合、Web上でファイル変換ツールを探し、変換した上で後続作業に復帰することができる。
「入金消込」の例の場合は、入金不足が発生した際、社内システムから過去の処理履歴を参照した上で、督促請求を行うべきか、未収金として次回の請求書で合算請求すべきかを自ら判断し、行動に移すことも可能である。
さらには、自らの判断が難しい場合、人間にエスカレーションして指示を仰ぐこともできる。
ただし、AIが自ら判断して行動するという一定の自律性を持つ以上、予測できない行動をするリスクがある点には、常に留意しておく必要がある。
先ほどと同様に例えるならば、冷蔵庫の中にある食材から工夫してレシピを考え、調理することができる料理人と言える。その時の旬を生かした料理が期待できる一方、人間からすると「それはないだろう」という食材の組み合わせをしてしまう可能性もある。
最後にエージェント型AIの特性と、その活用機会について解説する。エージェント型AIとは、個々の「AIエージェント」あるいは「AIワークフロー」が集まり、オーケストラのように協調しながら作業を分担して共通の目的を達成する、総合的なシステムを意味する。
例えば前述の「買掛金管理AI」や「売掛金管理AI」に加えて、「資金繰り予測AI」や「財務取引AI」などが一つのチームとなり、資金効率の最大化と流動性リスクの最小化の両立という、より高次元な共通の目標に向けて、AI同士が協力・分担しながら、また外部と相互影響しながら、自ら考えて最適解を導き出し、行動に移せる。
このレベルになると、仕組み全体の構築が非常に高度になるため、実現例としては多くはないが、加速度的なAIの進化の中で数年後には一般化しているものと考えられる。
こちらも例えるならば、顧客の体調や気分に合わせてコースメニューを提案するギャルソン、前菜担当シェフ、メイン担当シェフ、パティシエ、ソムリエなどが一つのチームとなり、お客さまをもてなすレストラン全体というイメージが近い。
ここで述べた活用ケースを図示すると(図2)のように整理できる。
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