変革の財務経理

実は違う!? 「AIエージェント」と「エージェント型AI」 今のうちに知っておきたい使い分けファイナンス組織「3つのジレンマ」とデジタル活用(1/4 ページ)

» 2026年01月08日 07時00分 公開
[山岡正房ITmedia]

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連載:ファイナンス組織「3つのジレンマ」とデジタル活用

 現在のファイナンス組織は、前例のない環境変化と不確実性の渦中で、3つのジレンマを抱えている。1つ目は、人材不足で従来業務の遂行すら難しい中で、ビジネス・パートナーとしての役割高度化にも並行して取り組まなければならないこと。2つ目は、既存事業の深化と新規事業の探索、あるいは求心力と遠心力といった背反するテーマを扱わなければならないこと。3つ目は、短期的な株主価値を求めるアクティビストと対峙する一方で、マルチ・ステークホルダー経営を推進しなければならないことである。

photo 図表はEYストラテジー・アンド・コンサルティング作成、以下同

 本連載では、これらのジレンマの解消に向けて、最新のデジタル技術をどのように活用すべきかを解説してきた。最終回となる今回は、「AIエージェント」「エージェント型AI」に焦点を当て、ファイナンス業務にどのように活用すべきかを紹介する。

 本連載ではファイナンス組織のデジタル活用について、その必要性や陥りがちな失敗の原因なども交えて解説してきた。

前回の記事

 最終回となる今回は、毎日のように話題になっているAIについて、特に2025年に話題の中心となった「AIエージェント」(AI Agent)や「エージェント型AI」(Agentic AI)に焦点を当て、ファイナンス業務にどのように活用すべきかを解説したい。

話題の「エージェント型AI」、結局何者なのか?

 近年のAI技術の進歩は目覚ましいものがある。2024年までAIといえば生成AIが話題の中心だったが、筆者が2025年5月に某ソリューション企業のグローバルイベントでイタリアを訪れた際、個別セッションのほとんどがエージェント型AIの話題で占められていた。

 また同じ週に米国で開催された別のソリューション企業のイベントに参加した同僚の話を聞いても、やはりエージェント型AIの話題で一色だったようだ。

 2016年6月にドイツを訪問した際、欧州はRPAが大流行りで「これは1年待たずに日本でも一大ブームになるな……」と感じたが、実際は3カ月を待たず、多くの日本企業が我先にとRPA導入に取り組むことになった。今回もその時のデジャヴを感じた。

 そして実際、今、日本でも毎日のように「AIエージェント」や「エージェント型AI」というキーワードが席巻しているのは、すでに多くの方が感じている通りだろう。

 しかしながら、国内外のさまざまなAI製品ベンダーのソリューション紹介や、AIに関する記事を読むと、「AIワークフロー」(AI Workflow)、「AIエージェント」(AI Agent)、「エージェント型AI」(Agentic AI)という、似て非なる概念が混同して語られているケースが散見される。AIに関連する新しいキーワードが次々と出てくる中、ファイナンス業務においてAIを適切に活用するために、まずはそれぞれの技術特性と活用事例について、あらためて整理したい。

 「AIワークフロー」「AIエージェント」「エージェント型AI」の各々の定義、主な特徴をまとめたのが(図1)だ。一番のポイントはAIが持つ「自律性の違い」と言える。

photo01 (図1)AIワークフロー、AIエージェント、エージェント型AIの特徴

【解説:AIワークフロー】手順通りに安定的に処理する

 まずは、AIワークフローの特性と、その活用機会について解説する。AIワークフローとは、あらかじめ定められた手順にしたがって複数のタスクからなる一連の業務プロセスをAIが遂行する仕組みである。

 例えば「1.仕入先からの請求書を読み取り、データ化する」「2.請求データと社内システムの発注・検収データを突き合わせる」「3.会計システムに買掛金を計上する」「4.支払期日に支払依頼伝票を起票する」といった4つのタスクからなる一連の業務を、AIによって自動化することができる。

 あるいは「1.銀行口座の入金明細をダウンロードする」「2.会計システムから売掛金一覧をダウンロードする」「3.両者をマッチングする」「4.会計システムに入金消込の仕訳を計上する」といった一連の流れも、手順通りにAIが安定的に処理することが可能である。

 一方で、AIワークフローはあくまでもあらかじめ定義された手順を忠実に実行するのみだという点に留意する必要がある。予測可能な動作により一貫した結果を得ることができる反面、想定外の事態に対応する柔軟性は乏しい。例えば、参照する請求書のファイル形式が通常と異なっているといった場合にエラーを起こす可能性がある。

 身近なものに例えると、レシピに忠実に調理する料理人といえる。予測可能な味の料理を安定的に提供することができる一方で、牛乳が切れてしまったなどといったイレギュラーの事態が発生すると、それ以上先には進めなくなってしまうという弱点がある。

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