変革の財務経理

実は違う!? 「AIエージェント」と「エージェント型AI」 今のうちに知っておきたい使い分けファイナンス組織「3つのジレンマ」とデジタル活用(3/4 ページ)

» 2026年01月08日 07時00分 公開
[山岡正房ITmedia]

AI活用の落とし穴――自律性は高ければ高い方がいい?

 AI技術を活用するにあたり、とにかく自律が進んだ最新のAIに無批判に飛びつく、という行動は避けるべきである。AIが自律的であるがゆえのリスクを考慮する必要があり、また、自律的なAIの導入には期間もコストもかかる。そして何より、AIが自律的であればあるほど、それを使いこなす人間側もより高度な能力と適切な志向性が求められることになる。

 AIワークフローとAIエージェントの使い分けは、あなたがチームリーダーになった際に、どのようなタイプのメンバーをチーム内に配置し、適材適所で業務を割り当てるかをイメージすると分かりやすい。

 両者の違いをより技術的に表現すると、AIワークフローは同じ条件なら常に同じ結果が出る「決定論的」、AIエージェントは状況に応じて結果が変わる「確率論的」に動く。

 AIワークフローは事前定義された「条件分岐」(if-then-else)に基づき行動するため、その結果は毎回同じで完全に予測可能なものである。一方でAIエージェントは、推論に基づく判断で自律的に行動するため、その結果は状況により変化するし、予想外の行動をとることもある。

 人間で例えると、AIワークフローは言われた通りに確実に業務を遂行するため、安定しているし安心感もある。しかしながら、融通は利かないし、想定外の事態への対応が全くできない従業員と似ている。

 逆にAIエージェントは、与えられた指示を自分なりに解釈し、状況変化に応じてどう行動すべきかを自分で判断して遂行する、柔軟で気が利くタイプ。一方で、たまに勝手な判断や想定外の行動をしてしまうことがある。

 近年は後者のタイプの従業員が重宝される傾向にあるが、果たして自分のチームを、後者のタイプだけで構成したいと考えるだろうか。

 特にミスへの許容度が低いファイナンス組織においては、融通が利かなくても確実な業務遂行ができる前者のタイプのメンバーが一定割合以上存在しなければ、安定したチーム運営が成立しないのではないかと考える。

 AI活用に関してもチーム内の人材最適配置と同じように、処理手順や判断ロジックが事前設定可能な業務やミスを許容できない業務をAIワークフローに代替させる。逆に、状況変化に合わせた柔軟な対応が必要で一定程度のミスは許容できる業務をAIエージェントに代替させる、といったAIの最適配置を緻密に検討することが重要であると言える。

 あるいは反復業務をAIワークフローに実行させ、想定外の事態が発生した際にAIエージェントに介入させる、といった2段階の活用方法も考えられる。

photo03 AIの得意、不得意を考慮して最適な配置を考えることで価値を発揮する(提供:ゲッティイメージズ)

 なお、AI技術は日進月歩である。AIエージェントがミスを起こす、想定外の行動を取るといった確率は急速に減少していくであろうし、導入コストも逓減していくと考えられる。

 また、人間のタイプが完全に二分できないように、厳密にはAIワークフローとAIエージェントの間にも、発展段階のグラデーションが存在する。

 こうした点も踏まえ、AIワークフローとAIエージェント、そして人間という3者の最適な組み合わせや配置、バランスは見直し続けていく必要がある。

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