AIブームに沸く企業の裏で、財務部門が成長のボトルネックになっている。
前回の記事では、サブスクリプション管理プラットフォーム大手、米Zuoraが財務部門の業務改革に取り組み、月次決算作業を20日から3日に短縮した方法をお伝えした。
参考記事:SaaSの成長を止める「財務の壁」 月次決算業務「20日→3日」を実現した企業が語る、生き残りの条件とは?
財務部門はこれまで、リスク回避の観点から、他部門からの相談に対し「No」を突き付ける立場だった。Zuora 最高会計責任者(CAO)マット・ドブソン氏は11月12日、東京でのイベントで、財務は単なる裏方ではなく、収益化戦略の設計者となるべきだと訴えた。
「できない理由」ではなく「実現する方法」を示せる財務部門こそが、企業の成長を左右する。
伝統的な財務部門は、制約を示す部門だった。システムの制限、プロセスの制約、リソースの不足、リスクの回避。こうした理由から、新しい施策に対して「No」と答えることが多かった。
「財務部門は『No』と言う部門だという評判があった」とドブソン氏は言う。「時には正当な理由があった。でも今の時代、特にAIのような大きな変化の中では、ただ『No』と答えるだけでは機能しない」
財務部門に求められているのは、「できない理由」ではなく「実現する方法」を示すことだ。自社のサービスに新しい価格モデルを導入したい、提供するAIサービスを従量課金にしたい――。こうした要望に対し、財務部門は「どうすれば実現できるか」「トレードオフは何か」を示し、実現への道筋をつける。
そのためには、財務部門が戦略的に動ける時間を確保し、意思決定の早い段階から参加し、成長を安全に繰り返し拡大できるインフラを持つ必要がある。
Zuoraが多様な業界の企業と仕事をする中で見えてきた共通点がある。成功している企業は、財務部門を成長戦略に組み込んでいる。経営会議に参加し、意思決定に関わり、後処理ではなく設計段階から関わっている。
営業、プロダクト、IT――各部門はそれぞれの領域を見る。しかし財務部門だけが、ビジネス全体を見渡せる唯一の部門だ。最初の注文書に何が約束されたか、どう提供されたか、収益はどう認識されたか、顧客はどう契約を更新したか、全てが最終的にどうキャッシュになったか。
収益がどこで生まれ、どこで漏れているか。契約条件が成長の機会を生むのか、リスクを生むのか。価格設定が拡大を加速させるのか、利益率を削るのか──さまざまなことが見える。「財務はもはや単なるバックオフィス機能ではなく、ビジネス経営の基盤になっている」とドブソン氏は強調する。
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