日本企業の間では、中国がどこまで規制を強化するのか読み切れない状況が続いていた。こうした中、外務省関係者は筆者の取材に対し、次のように語っている。
「高市首相の発言以降、中国の外交部を中心に反発は続くと考えていたが、旧正月(春節)以降には、中国側の言動はある程度落ち着くだろうと見ていた。それだけに事実上のレアアース規制まで行うとは思わなかった」
実際、すでに影響は出始めている。筆者が知る、レアアース関連の輸入に携わる事業者によると、中国からの輸出には早くも規制が行われているようだ。
野村総合研究所の試算では「レアアースが本格的に輸出規制されれば、3カ月で6600億円の経済損失」になるという。サプライチェーンでの調達が滞ることで特に影響を受けるのが、自動車や半導体など日本にとって重要な産業分野である。規制強化が続けば続くほど、日本企業がネガティブな影響を受けることは間違いない。
もっとも、中国による対日レアアース規制は初めてではない。2010年、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を受け、中国は日本向けレアアース輸出を事実上制限した。このとき、日本企業は深刻な影響を受けた。
当時を振り返ると、中国による輸出規制によって、ネオジムやジスプロシウムといった主要レアアースの国内価格は約1年で10倍近くに高騰した。自動車産業では、コストが数千億円規模で上昇したとの推計もある。今回の規制も長引けば、同様の事態が再び起きかねない。
当時は、日本企業が調達先の見直しを迫られると同時に、日本政府もレアアース確保対策として総額約1000億円規模の予算を計上した。調達先の多角化や、廃棄された電気機器から磁石を回収するリサイクル事業などが進められた。
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