総務省のふるさと納税に関するWebページを改めて確認すると、この制度には以下の3つの意義があることが分かります。
「地域支援の手段」は、その地域の環境や産業の発展を目的に、寄付という形で応援することです。例えば、自身のふるさとや以前関わりがあった自治体に思いを寄せて行う寄付は、まさにこの意義に当たります。
「納税意識の向上」は、寄付先を自分で選択することで、納税者自身が税金の使い道について考える契機となることを指しています。所得に応じた租税負担が社会全体の相互扶助や格差是正に役立つことを理解している方は多いはずです。それでも、自分が納めた税金の行方に改めて意識が向くことには十分な意義があると感じます。
その理由の一つは、選挙という仕組みが、必ずしも「税の使い道」を考える場にはなっていない点にあります。
地方行政を「執行」と「経営」という2つの役割で捉えると分かりやすいでしょう。行政事務やサービスを直接的に担うのが「執行者」、地域全体の方向性などを決める役割を「経営者」と考えるイメージです。
住民が自治体に対し影響力を発揮する代表的な手段が選挙ですが、多くの場合、住民の関心は「自分たちに必要な行政サービスをどう提供してもらえるか」という点に集まります。その観点で候補者が選ばれますが、行政サービスのほとんどは法律で決められており自治体間で目立った違いは生まれにくいのが実情です。
細かい差はあるにしても、どこに力を入れるか、経営資源(人材・資金・モノ・情報)の振り分け方、今後どんな自治体を目指すか、といった政策的な違いが出るだけで、これらは「経営者」としての視点とも言えます。
政治学の観点でも指摘されている通り、執行者として求められる役割が限定されていることや、政策の選択肢自体が少ないことも一因です。こうした状況では、住民の地方行政に対する関心が徐々に薄れていくのも無理はありません。だからこそ、寄付という形で「どの自治体を、どの政策のもとで支えるのか」を自ら選ぶふるさと納税は、受益者としてではなく、納税者として考える契機を提供する制度だと言えるでしょう。
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