「投資」と聞くと身構える。「ポイント」と聞くと財布のひもが緩む。
同じ暗号資産を手に入れる行為なのに、入り口の言葉が違うだけで、人の心理はこうも変わる。日本人の8割がポイントを意識的に貯める一方、投資経験者は2〜3割にとどまる。世界最大の暗号資産取引所Binance(バイナンス)の日本子会社、Binance Japan(東京都千代田区)はこの「隙間」を見逃さなかった。1月13日に発行を開始したクレジットカード「Binance Japan Card」は、暗号資産を投資ではなく、リワード(還元)として届ける。
Binance Japan Cardの仕組みはシンプルである。日常の買い物を円で決済すると、利用額の1.6%相当の暗号資産BNBが還元される。BNBはBinanceが発行するトークンで、2017年の発行(公開)から9000倍という驚異的な価格上昇を記録した。カードの発行会社はライフカードで、国際ブランドはJCB。年会費は初年度無料、2年目以降も年間10万円以上の利用で無料になる。
ポイント還元率としては高水準だが、それだけなら話題にはならない。このカードが突いているのは、暗号資産に対する日本人の微妙な心理である。
「日本のマーケットはポイント経済が発展している。ここに日本の消費者がいる。ポイントから入ってもらうのが有効な手立てだ」。Binance Japan代表の千野剛司氏は、そう語る。
暗号資産を「買う」となると、価格変動リスクが頭をよぎる。損をするかもしれない。よく分からないものに手を出していいのか。そんな逡巡が生まれる。ところが「もらえる」となると、話は変わる。自分の財布から出ていくわけではない。おまけのようなものだ――そう受け止められる。
この心理を、事業者たちは見抜いている。
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