「いまだキャッシュレス未対応」の領域、どう攻める? 三井住友カード×世界最大フィンテック提携で「中小店舗のOS化」狙う(2/4 ページ)

» 2026年01月23日 08時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]

中小店舗の「DX疲れ」が生んだ商機

 キャッシュレス化の進展に伴い、店舗運営のデジタル化も急速に進んだ。タブレットPOSレジ、モバイルオーダー、デリバリー連携、予約管理システム。個々のサービスは確かに便利だ。

 しかし、複数の事業者のサービスを導入した結果、「本来は効率化が図れるはずなのに、逆に管理が煩雑になった」(三井住友カード)という。決済端末はA社、POSレジはB社、予約システムはC社、シフト管理はD社。それぞれにIDとパスワードがあり、データは連携せず、月末の売上集計は手作業。これが多くの中小店舗の実態だ。

 三井住友カードの谷川真一マーチャントビジネス統括部部長は「決済はオールインワンでも、サービスごとにハードもソフトもバラバラという状況が続いてきた」と指摘する。

 一方、海外に目を向ければ、事情は異なる。米国やオーストラリアでは、郊外の小さなカフェでも決済・POS・在庫管理・顧客管理が一つの端末で完結するのが当たり前になりつつある。その立役者が「Clover」だ。Cloverを展開するのが、世界最大のフィンテック企業Fiservである。

Cloverサービスの全体像。 Fiservが世界展開する店舗DXサービスの機能構成。決済やPOSといった基本機能に加え、飲食・小売り・サービス業向けの業界特化機能を備える。一見、steraと競合するようにも感じられるが、日本展開時のサービス名称やブランドは今後決定される

Fiserv、決済インフラを支配する「知られざる巨人」

 Fiservという社名を聞いて、すぐにピンとくる日本人は少ないだろう。しかし、この企業は世界の決済インフラを支える巨人である。

 Fiservは1984年に米ウィスコンシン州で設立された。銀行システムの基幹業務処理、デジタルバンキング、加盟店向け決済サービスの3本柱で成長し、2024年の売上高は205億ドル(約3兆円)に達する。米経済誌フォーチュンが選ぶ「フォーチュン500」で208位にランクインし、IDC Financial Insightsの「フィンテックランキング2025」では売上高ベースで世界1位を獲得した。

 その規模を端的に示すのが、マイク・ライオンズCEOの言葉だ。「米国のすべてのカード取引の40%を当社が処理している」。Fiservの説明によると、世界100カ国以上で約1万社の金融機関と600万を超える加盟店にサービスを提供する。カード口座の発行管理数は約16億件、デジタルユーザー数は1億人。消費者の目に触れることはないが、決済の裏側でFiservの技術が動いている。

 そのFiservが中小事業者向けに展開するのがCloverである。2013年にサービスを開始し、現在は米国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、ブラジルなど12カ国で70万社以上が利用する。Fiservの説明によると、年間の決済取扱高は3000億ドルを超える。日本は13カ国目の展開国となる。

 Cloverの特徴は、決済端末でありながら店舗運営プラットフォームでもある点だ。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済に対応するだけでなく、POSレジ、売上分析、従業員管理、予約・注文管理、顧客管理(CRM)までを一つの端末で完結させる。据え置き型からモバイル型、キオスク型まで端末の種類も豊富で、飲食店から小売、サービス業まで幅広い業態に対応する。

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