「いまだキャッシュレス未対応」の領域、どう攻める? 三井住友カード×世界最大フィンテック提携で「中小店舗のOS化」狙う(4/4 ページ)

» 2026年01月23日 08時30分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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「金融×決済×店舗運営」の完全融合

 今回の提携のポイントは、単なる決済端末の導入ではない。Cloverの店舗運営プラットフォームと、SMBCグループのデジタル金融サービス「Trunk」を融合させる点にある。

発表会場に展示されたFiservの決済・店舗DX端末。1台で決済、POS、従業員管理など複数の機能を統合する。日本展開時のブランド名は「Clover」とは決まっておらず、「stera」「Trunk」などを含めた複数の選択肢から今後決定される見込み

 谷川部長は3つの価値を提示する。

 まず「経営の見える化」だ。Clover端末のダッシュボードを通じて、売り上げから人件費、日次決算まで、お金の「入口」から「出口」までをリアルタイムで把握できる。POSデータと金融情報が統合されることで、経営判断のスピードが上がる。

 次に「提案型ファイナンス」である。売上データを分析し、将来の売上予測に基づいた債権ファクタリングを提案する。繁忙期には自動で与信枠を広げ、閑散期には返済負荷を下げるビジネスカードなど、店舗の実態に即した金融商品の提供を検討している。

 そして「金融・決済コストの削減」だ。Trunkとの同時申込による初期費用の無料化、振込手数料の減免、口座残高に応じた加盟店手数料の引き下げなど、中小事業者の負担軽減を目指す。

Trunk × Cloverの検討施策。FiservのCloverと三井住友カードのTrunkを融合し、「経営の見える化」「提案型ファイナンス」「金融・決済コストの削減」の3領域でサービス展開を検討している。そのための日本での具体的なサービス名称は今後発表される予定だ

 これらは検討段階の施策も含まれるが、方向性は明確だ。決済手数料を収益源とする従来のビジネスモデルから、店舗経営全体を支援するプラットフォーマーへの転換である。Cloverのアプリマーケットには海外で400を超える業務支援アプリがそろっており、デリバリーサービスや会計ソフト、ECプラットフォームとの連携も可能になる。店舗は成長に合わせて機能を追加できる。

勝負の行方、誰が中小店舗のOSになるか

 サービス開始は2026年秋を予定している。ブランド名も検討し、詳細な価格体系や日本向けのカスタマイズ内容は今後発表される。

 中小店舗向けのPOS市場では、リクルートの「Airレジ」が先行する。無料で導入できる手軽さを武器に、利用店舗数を伸ばしてきた。米Squareも日本市場での存在感を高めている。後発となる三井住友カード×Fiservの連合が、どこまで食い込めるか。

 ただし、競争の軸は変わりつつある。単なるPOSレジや決済端末ではなく、店舗経営の「OS」としての総合力が問われる時代に入った。決済、在庫管理、顧客管理、従業員シフト、資金繰り。これらを一つのIDで管理できるかどうか。その回答が、Clover+Trunkの組み合わせだ。

 大西社長は「お店とともに成長するDXサービスを目指す」と語った。個人で1店舗から始め、テークアウトを追加し、やがて複数店舗に拡大する。その成長過程に寄り添えるプラットフォームを提供できるかが、勝敗を分ける。2026年秋、日本のキャッシュレス後半戦の号砲が鳴ることになる。

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