一方、OSS活用のリスクもあります。
その一つはOSSそのものの管理体制の脆弱さです。
OSSの開発やソースコードの改修、管理などの作業は世界中のエンジニアが担っていますが、その立場はまちまちです。ボランティアで作業に従事する人もいれば、OSSの普及や販売、サポートにビジネスとして携わる人もいます。別の企業から派遣されて、そのOSSに関わる人もいます。
しかし、エンジニアの引退や後継者不足により、少人数でOSSの運営や管理を続けざるを得ないケースも少なくありません。
例えば最近では、XMLデータを処理するライブラリであるlibxml2を長年ほぼ一人で管理してきたメンバーが退いたというニュースがありました。libxml2はChromeやSafariなど主要なWebブラウザにも組み込まれている重要なソフトウェアであり、この出来事には私自身も強い衝撃を受けました。
また、資金の面でもリスクはあります。OSSもさまざまで、企業から多額の寄付を集めているOSSもあれば、資金難でプロジェクトが放棄されるOSSもあります。
ソースコードが開示されていることにより、対価を払うことなくOSSが利用できてしまうので、いわゆるフリーライド(ただ乗り)されたまま、収益が得られないという事象もよく見聞きします。
このような背景がある中、2025年11月25日に実施された参議院総務委員会において、自治体システムのオープンソース化についての質問がありました。参議院インターネット審議中継で、その様子が確認できます。
議員からの質問の趣旨は以下のものでした。
この質問の本質は、自治体が保有するプログラム(ソースコード)の著作権が「公有財産」に該当するかどうかを確認するものに過ぎず、それ自体は重要ではありません。実際、オープンソース化の有無にかかわらず、私が高知県庁のCIO補佐官として在職していた2010年当時、県が著作権を持つプログラムを他団体に提供していました。
筆者の関心は、質問の前段にあります。
「自治体システムはオープンソースにふさわしいのか」と「自治体システムはオープンソースで成り立つのか」という点です。
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