ただ、当事者である部下が「相談」と「高度な愚痴」を意識し、使い分けているケースはほぼないといっていい。本人に悪気はないケースがほとんどである。部下の気持ちは、
「不安を受け止めてほしい」
「正解が怖い」
「変わる責任を引き受けたくない」
といった、「解決」より「共感」を求めている状態なのだ。
だから上司は、見分けることが重要になる。相手が本気で相談しているのか、それとも愚痴を聞いてほしいだけなのか。それを判別したうえで、対応を変えるのだ。自分自身のためにも、この「仕分け」は意識的にやってほしい。
本気の相談なら、話を構造化し、打ち手を提示する。愚痴だと感じたら、「大変だね」と共感するだけにとどめる。上司はみんな忙しいのだ。時間を無駄にしてはいけない。
課長は、この見分け方を知ってから対応を変えた。部下が「相談があるんですが」と言ってきたとき、まず「どうなれば解決だと思う?」と尋ねる。曖昧な答えしか返ってこなければ、それは「高度な愚痴」だと判断する。
「わかった。話は聞くけど、今日は解決策は出さないよ。ただ聞くだけにする」
課長がそう伝えると、部下は少し拍子抜けした表情を見せる。しかし、10分ほど話を聞いてもらうと、「ありがとうございました」と言って席に戻る。
その結果、相談に乗る時間を30分から10分に短縮できた。消耗する感覚は大幅に減った。そして何より、相談と愚痴を見分けられるようになったことで、対応にメリハリがついた。本気で相談してくる部下には、しっかり時間をかける。愚痴を言いたいだけの部下には、共感だけで済ませる。飲みに行って、より信頼関係を築けるようになった部下もいた。
相談と愚痴を見分けることは、上司にとって重要なスキルなのである。
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