「まいばすけっと」が都心に増え続けるワケ イオンが仕掛けた“ちょっと変なスーパー”の正体小売・流通アナリストの視点(5/5 ページ)

» 2026年02月02日 08時00分 公開
[中井彰人ITmedia]
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イオンの覇権確立の成否は?

 イオンは首都圏で資本関係のあるスーパーを統合してユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、USMH)を組成し、現在は首都圏のトップシェアとなっている。しかし、近年の売り上げの増減をみると、統合により大きな勢力となっているものの、各社の伸びは大きいとはいえない。

 首都圏ではヤオコー、オーケー、ベルクといった有力スーパーがシェア拡大を続けており、USMHは差を縮められつつある。そのため、イオンはダイエーの関東事業であるピーコックストアをUSMHに統合した上で、競争力を再構築するグループ再編に取り組む。

 ただ、現状では、イオンにとって最も頼りになる存在はまいばすである。

 首都圏の小型スーパーといえば、昨年西友を買収し、その既存店を活用して西友のバックヤードから生鮮や総菜を供給するサテライト方式で、小型店トライアルGOを展開し始めたトライアルがいる。

都内に展開し始めたトライアルGO(出典:トライアルのプレスリリース)

 しかし、その規模やインフラ基盤はイオンには遠く及ばない。まいばすの成功から、まだ中心部にフロンティアがあることも分かったため、今後首都圏に小型スーパーを投入するスーパーやコンビニ大手はあるだろう。しかし、先行するイオンに追い付くのには、相当な時間がかかりそうだ。今後さらに激化すると予想される首都圏の争奪戦で、イオンの覇権確立できるか否かは、このまいばすにかかっているのである。

 車社会化が進んだ1990〜2000年代にかけて、拡張するロードサイドマーケットに注目し、大型スーパーや大型モールを投入して地方で圧倒的なシェアを握ったのはイオンであった。時代が変わり、大都市圏での小型店戦略において先頭に立ち、新業態を完成させたのもイオンである。

 イオンは最大手として、最大公約数的な店舗開発を行うことから、「画一的で無機質」「おもしろみがない」という評価を受けるかもしれない。しかし、時代の先端を切り開いたのは、またもイオンだったことを考えると、業界の覇者としての底力に、すごみを感じざるをえない。

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