収益のほとんどをカレー事業が占める壱番屋だが、2019年に浜島俊哉前社長から葛原守社長へ交代したことを機に、M&Aを通じて事業領域の拡大に取り組んでいる。
ジンギスカンの「成吉思汗 大黒屋」を運営する大黒商事を2020年12月に子会社化したことを皮切りに、2023年3月に「麺屋たけ井」を運営する竹井、同年12月に「博多もつ鍋 前田屋」を運営するLFD JAPAN、2025年1月に「極濃豚骨 らーめん小僧」などを運営するKOZOU(コゾウ)、そして同年12月にガクを買収して事業ポートフォリオを広げてきた。
「当社のM&Aの方針として、テークアウト専門店ではなく、店内飲食サービスを伴うこと、お酒メインの居酒屋やバーではなく、『これを食べたい』として来店する食事メニューが中心であることを重視しています。それが『食のエンターテインメント企業』に欠かせない要素であり、当社の強みを生かせると考えるためです」
この方針に加え、これまでの買収企業は、全国で10数店舗ほどとそれほど規模が大きくない企業が多い。こうした企業は、さらなる拡大に向けた次の一手として大手との提携を視野に入れていることがあり、互いの狙いが一致しやすい。全国に9店舗を展開するガクにも、まさに同様の狙いがあった。
とはいえ、食事領域に強みを持つ同社が、なぜスイーツ事業に参入したのか。
「当社では、国内の魅力ある飲食事業であれば、どんどんグループインしていただきたいと思っています。当初からスイーツ事業に参入したい意図があったわけではなく、ガクとのご縁があり子会社化に至りました」
ガクの創業者である橋本学氏のInstagramには、M&Aの経緯や思いがつづられている。抜粋すると、「年商が10億円を超えて数年が経過し、次のステップとして国内での店舗拡大や海外展開に向けて土台作りを進めてきた。しかし、独力での限界を感じ、大手との資本提携を模索していたところ、仲介会社を通じて壱番屋から声がかかった。そこで互いの思いが一致して、新たなチャレンジをする運びになった」という。
実は、橋本氏は飲食業界の恩師を通じて壱番屋の経営哲学を模範にしており、「運命的な出会い」とも書かれていた。
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