みずほFGに限らず、残る2つのメガバンクも好調な業績を上げています。主な要因は、前述の通り、金利環境の変化が基幹業務である銀行業務に直接反映された点にあります。
では、収益性を示す指標であるROEは、メガバンク3社でどのように推移しているのでしょうか。
2025年3月期では、3メガバンクのROEはいずれも大きな差は見られませんでした。しかし、2025年度中間決算においては、みずほFGのROEが他の2グループに比べて伸び悩み、結果として差が広がる形となっています。
では、なぜみずほFGはROEの面で後れをとる結果となったのでしょうか。以下では、ROEを構成する要素である「当期純利益」と「自己資本」に分けて、その要因を整理していきます。
ROEの分子である当期純利益について、利益構造は各グループに特徴があるのでまずはその点を紹介します。
銀行・信託分野が当期純利益の約62%を占める一方、モルガン・スタンレー持分法投資やタイのアユタヤ銀行(クルンシィ)、インドネシアのダナモン銀行といった海外投資・戦略的出資先からの持分法投資利益等も寄与しており、これらを含む投資関連の収益が中間期ベースで約28%となっています。
同社は、当期純利益に占める本業の銀行業務の割合が72.8%と、三菱UFJFGと比べ高い割合となっています。そのため、貸出金利息の動向が業績に与える影響も相対的に大きく、金利環境の変化が利益に直結しやすい構造となっています。
中間決算における当期純利益の内訳を見ると、銀行2行(みずほ銀行、みずほ信託)が約75%を占めており、3グループ中で最も高い割合です。このため、三井住友FGと同様に、貸出金利息の増減が業績に与える影響が大きく、金利環境の変化が利益に反映されやすい構造となっています。
3グループの当期純利益を見ると、三菱UFJFGは前年同期比で微増にとどまる一方、三井住友FGおよびみずほFGは20%を超える高い伸びを示しています。ただし、この増益は必ずしも本業収益の一様な拡大によるものではありません。
次に、各グループの収益の根幹である貸出金利息について見ていきましょう。
経常収益の内訳を見ると、各行で明確な差が生じています。貸出金利息については、みずほFGおよび三菱UFJFGで前年同期比5%以上の減少となりました。これは、海外における貸出利回りの低下が影響したためです。
一方、みずほFGと利益構造が類似している三井住友FGは、貸出金利息が微減にとどまっています。同社によると、これは海外貸出金において、低採算アセットの削減を継続したため、貸出金のスプレッド(貸出金利と調達金利の差)が順調に推移し、大きなマイナスにつながらなかったとのことでした。
当期純利益の約75%を貸出金利息が占めるみずほFGにとって、海外貸出金での利回りおよびスプレッドの低下が経常収支、ひいては当期純利益を押し下げることにつながったものと推察されます。
続いて、ROEを構成するもう一つの要素である「自己資本」を見ていきましょう。自己資本はROEの分母に当たるため、当期利益が変わらなくても、自己資本が減少すればROEは上昇します。そのため各グループは、株主への配当と並ぶ還元策として、自己株式の取得を進めています。
自己株式の取得は、株主への直接的な利益還元にとどまらず、ROEを押し上げる効果もあります。以下の表は、2025年中間期における各社の自己株式取得の状況をまとめたものです。取得総数・総額に加え、発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合や、純資産の増加率も示しています。
この表から、みずほFGは発行済株式数に対する取得割合で見ると、三菱UFJFGと三井住友FGと比べて自社株式の取得に積極的であることが分かります。一方で、純資産の増加率も3社の中で最も高く、自己資本は大きく積み上がりました。
結果として、株主に対しては配当増加という形で還元が進みました。一方、自己資本の増加率が高かったため、三菱UFJFGと三井住友FGと比較し、ROEを引き上げる要因とはならなかったといえるでしょう。
こうした状況を踏まえると、今後のみずほFGに求められる取り組みの一つとして、収益構造そのものの見直しが挙げられます。では、みずほFGは今後どのような戦略を描いているのでしょうか。
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