2025年度決算から2026年度に向けて、みずほFGはどのような戦略に打って出るのでしょうか。収益基盤の構築、とりわけM&A事業および中小企業の囲い込み戦略について触れていきます。
M&A事業について、みずほFGの木原氏は「海外におけるM&A事業を成長分野と位置づけ、積極的な展開を進める予定である」と述べています(参照:日本経済新聞「みずほ木原社長『ROE10%、25年度にも達成』 インドでM&A助言」)。
その一環として、2026年7月をめどに、みずほFGの連結子会社のみずほ証券が、インドの大手投資銀行であるアベンダス・キャピタルの株式の60%超を取得。連結子会社化により、戦略的パートナーシップを一段と強化する方針です。
今後は、アベンダスが有する起業家ネットワークや現地市場に関する深い知見を生かし、インド市場への本格的な展開を図るとともに、日本企業とインド企業との提携や協業を後押しする効果が見込まれます。
対象は大企業にとどまらず、中堅企業の海外進出においても支援の幅は広がると考えられます。さらに、元みずほ証券英国法人社長を副社長として迎えることで、国・地域をまたいだ連携を強化し、より実効性の高いクロスボーダーM&A(国境をまたいで行われるM&A)支援を目指していく姿勢もうかがえます。
また、木原氏は、中小法人向け決済サービスにも注力することもあわせて語っています。みずほの強みである法人向けサービスをさらに強化するため、国内でもM&Aを実施。2025年9月にカード事業や請求書カード払いサービスを運営しているUPSIDERホールディングスの株式を取得し、みずほ銀行の連結子会社としました。
UPSIDERは、AIを活用した法人カード「UPSIDER」や、請求書カード払いサービス「支払い.com」といったデジタル金融サービスを展開しています。これらは累計決済額が非常に大きく、与信枠も拡大しており、企業の資金ニーズに直接応えるインフラになりつつあります。
みずほ銀行は、これまで伝統的な融資・預金・決済といった金融機能を強みとしてきました。UPSIDERのAI技術や与信ノウハウ、そしてみずほ銀行の豊富な経験や情報を融合することで、これまでにない新たな与信サービスの提供も期待できるかもしれません。
昨今の金融情勢を踏まえると、みずほFGが発表している上方修正の通りに推移すれば、2025年度におけるROE10%超えも視野に入ってきます。
ROEが全てではありませんが、他の2つのメガバンクと同水準の収益力を確保するためには、収益構造の見直しが一段と重要になりそうです。インドでのM&Aや、国内の法人取引先への付加価値提供を通じた、非金利分野での安定的かつ効率的な収益の積み上げが今後の鍵となりそうです。
みずほFGは創立25周年を迎え、グローバル金融機関としての進化を見据えた新たなフェーズに入っています。収益構造や資本効率の改善に向けた取り組みが、今後どのように実を結ぶのか。引き続きその動向を追っていきます。
大阪府立大学経済学部卒。第二地方銀行にて預金・融資業務、消費者金融では債権回収、信用組合においては融資・経理・審査管理に従事。
現在はフリーライターとして、資金調達・資金繰り、銀行融資、ファクタリング等の金融ジャンルを中心に執筆する。
審査・回収・債権管理といった現場経験を踏まえ、制度や数字の解説にとどまらず、実務上の論点や注意点まで整理して提示することを得意とする。
中小企業の資金繰り改善や金融機関対応に関する記事実績多数。金融機関向け通信講座教材の企画・執筆経験あり。
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