抵抗、戸惑い、そして覚悟――老舗企業がDXを受け入れるまでの700日
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
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【概要】創業60年の老舗である協和海運は、スタートアップのShippioと共に通関業務のDXに挑戦しました。紙を中心とした現場をデジタル化し、さらにAIを活用した新たな事業創出にも発展させました。その結果、取扱件数は6倍に増加し、工数は5分の1に削減、トラブルはゼロを実現しました。ベテラン職人の知見とテクノロジーを融合させ、業界の変革モデルとなった本プロジェクト。その裏側で、何を考え、どのように実行してきたのか――リアルな現場の声と成果を包み隠さずお伝えします。
1945年に愛知県みよし市で創業した、ナニワは工場での紙の多さとアナログな作業に頭を抱えていた。同社は、餡(あん)やあんこ製品をはじめとする和菓子、デザートなどの原料を製造するあんこメーカーだ。
工場の生産量は1日40〜50トン、年間では9000トンに上る。日本人全員が一度は何らかの形でナニワのあんこを食したといえる量だ。
これまで、その膨大な生産量をアナログな管理で支えてきた。商品の品質や安全性を保証する外部認証を取得・維持するために提出する現場の記録帳票や在庫管理、業務日報など、紙と手作業は年々増えていった。
1日当たり150〜200枚のレポートを作成・ファイリングしていたほか、製造量と出荷量を照合する棚卸し作業には3人がかりで毎日3〜4時間費やしていた。現場の負担だけでなく、管理職もチェックと承認に追われていた。
これらの課題を解決するため、同社は2023年10月に本格的に現場DXに着手することに。デジタル帳票ツールを導入し、作業時間を大幅に短縮。クラウド上で情報が管理できるため、これまで発生していたファイリング作業がなくなり、棚卸し作業は1人で30〜60分で完結するようになった。工場全体では年間約700時間の業務削減を実現している。
今ではDXでさまざまな現場改善を行っているが、2023年以前はDXに対して二の足を踏む状況が続いていたという。どのようなきっかけでDXに乗り出し、現場に定着させることができたのか。DX推進プロジェクトのメンバーである、杉本健児氏、丹羽祥文氏、加藤雄輝氏、渡部紗妃氏に話を聞いた。
ナニワの製造現場では、品質を守るための作業が増えるほど、日々の生産が圧迫されるという構造的な課題を抱えていた。外部機関に提出する帳票には、製造工程における食品安全や環境配慮の取り組みを示すための記録や確認作業の履歴が残されている。
例えば、餡の包装工程では、製品が正しく密閉されているかを定期的に検査し、温度や圧力が基準値から外れていないかを確認し、帳票に記録している。こうした記録があることで、万が一トラブルが起きた際にも、どの工程まで問題がなかったのかを遡(さかのぼ)って確認でき、被害範囲を特定する重要な手がかりになる。
「製造現場にいた頃は、品質保証部から指示を受けて記録をつけていましたが、『ここまで細かく記録を取る必要があるのか』と感じることもありました。しかしその後、品質保証部に異動し、帳票の重要性を実感しました。設備由来のトラブルが起きた場合、記録がなければ、本来1日で収束するはずの事象が、1週間、2週間と広がってしまう可能性があります」(杉本氏)
ナニワでは、多数の取引先に対してさまざまな原料供給を行っていたり、外部機関への書類提出が必要だったりしたため、製品ごとの工程や管理項目が多岐にわたっていた。品質保証部としては全ての項目を正しく把握したいが、その記録作業を担う現場にとっては大きな負担となっていた。
特に年末商戦や催事向けの需要が集中する10〜12月は繁忙期にあたり、限られた稼働日数で高い生産計画を組む必要があった。生産量や製品数が増える分、作業量や記録しなくてはいけない帳票も増える。そのため、週休1日体制で現場を回さなければならない状況も少なくなかった。
品質と生産性のどちらも欠かせないからこそ部分的な改善では限界があり、この構造そのものを見直す必要があると考えた。
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