ナニワでは、DXによって生まれた時間を他の業務に積極的に投資し、さらなる商品の品質向上を目指している。その一つが清掃工程の見直しだ。
同社が製造する「生あん」は微生物が繁殖しやすく、品質劣化の進行も早い製品だ。そのため、製造エリア、設備、備品は高い衛生レベルを保つ必要がある。すでに製品企画の基準は満たしているが、顧客に選ばれる商品にしていくためにより高い衛生レベルを目指した。
外部の清掃支援業者に依頼し、工場内で菌が潜みやすい箇所を調査。調査結果をレポートとして整理し、現場に共有しながら日々の清掃手順に反映していった。清掃手順には、写真や動画を盛り込むなど視覚的な分かりやすさを意識。誰が作業しても同じ水準でできるようにした。こうした取り組みのおかげで、工場内の現在の菌数は調査時点と比べて3分の1以下に減少しているという。
紙と手作業だらけの現場にデジタルツールが導入され、さまざまな改善が行われた。杉本氏は「カミナシ導入前と比べると、現場の満足感や充実感は100%を超えて120%、130%と感じる場面もある」と話す。その一方で、DXの進捗(しんちょく)率としては「40%程度」という。
「現場でのプロジェクトを通して、品質や生産だけでなく、販売や開発、総務など、DXを広げられる領域が次々と見えてきました。できていること以上に、次にやりたいことが増えています。結果として、全体を俯瞰(ふかん)すると達成率は40%という感覚です」(杉本氏)
ナニワのDXは、現場のありとあらゆるムダを取り除くことに成功した。紙での管理やアナログな作業を減らし、生産性向上も実現。さらなる品質向上によって、会社の競争力向上にも寄与した。ナニワのDXはまだ始まったばかりだ。現場での学びを踏まえて、他の領域でのムダも取り除いていく挑戦は続く。
ローソンの車中泊は、単なる「場所貸し」ではない 見落とされがちな体験価値とは
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
年商54億円企業を「突然」継いだ兄弟 役員・社員が辞めていく中でも改革を続けたワケ
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
「落とし物DX」で売上15億円 競合だったJR東日本も導入した「find」はどんなサービスなのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング